倉本聰氏「やすらぎの刻」に寄せて【全文】「東京ファーストと人は言います…」

 脚本家・倉本聰氏(83)が来年4月スタートのテレビ朝日系昼の帯ドラマ枠「やすらぎの刻(とき)~道」(月~金曜、後0・30)を手がけることが23日、分かった。同局が発表した。昨年4月から半年間放送され、大きな反響を呼んだ「やすらぎの郷」の関連作との位置づけで、1年間を通じて放送される。主演は「-郷」にも出演した女優・清野菜名(23)。

 「-郷」から2年。倉本氏が再びオリジナル大作に挑む。テレビ朝日開局60周年を記念した作品で、すでに昨年から執筆に取りかかっているという。

 「やすらぎの刻」は「-郷」に主演した俳優・石坂浩二(76)演じる作家・菊村栄が昭和、平成を生き抜いた無名の夫婦の生涯を描いた物語を描く劇中劇。描かれたシナリオ世界の主人公を清野、晩年を女優・八千草薫(87)が演じる。

 【以下、倉本氏のコメント全文】

 東京ファーストと人は言います。

 この言葉に私は疑問を持ちます。

 東京は地方人の集合体です。たとえ、都会のコンクリートの上で生まれ育った人間が圧倒的に今増えているといっても、人々はどこかで、そのルーツである“ふるさと”の土の匂いに頼っており、そこに郷愁を感じています。

 中高年層においては、特にそうです。

 都会といういわばガラス細工の、砂上の楼閣に暮らしていても人はふるさとの原風景を心の中に秘かに刻んでいます。

 子供のころ親しんだ、田舎の、未舗装の一本の小道。

 今は便利になり、アスファルトで覆われ、高速道路が縦横に走る豪華な世の中になったとはいえ、人々が最後に心に描くのは己の貧しい原風景の中にある“ふるさと”の細い小道ではないか。

 このドラマはそうした小道の変遷を通して、昭和・戦中・戦後・平成、日本の豊穣への歴史を辿りながら、それに翻弄される一組の夫婦の“倖せ”への郷愁を探り、描くものである。

関連ニュース

編集者のオススメ記事

芸能最新ニュース

もっとみる

    主要ニュース

    ランキング(芸能)

    話題の写真ランキング

    デイリーおすすめアイテム

    写真

    リアルタイムランキング

    注目トピックス