NHK、電通働き方報道は「伝えるべきこと」非公表は遺族の意向

 NHKが5日、東京・渋谷区内の同局内で、上田良一会長の定例会見を開いた。4日に首都圏放送センターの佐戸未和記者(当時31歳)が13年7月に都内の自宅でうっ血性心不全で亡くなり、14年5月に渋谷労働基準監督署から長時間労働による過労死として認定されていたことを公表したが、この過労死認定から現在に至るまでには電通の過労死問題を筆頭に多くの労働問題を報じてきた。佐戸さんの遺族が公表を望んでいなかったとはいえ、その矛盾について、担当する編成局計画管理部長の山内昌彦氏が説明した。

 まず、大前提として、佐戸さんの両親が過労死認定の事実を世間に公表してほしくないと、代理人を通じてNHK側に求められていたと説明した。山内部長はこのことを踏まえた上で「ご両親側から外に伝えてほしい、という話があっての話であれば、私どものこれまでの報道の仕方も変わってきたと思います」と振り返り、「じゃあ、今、伝えるべきことを伝えなくていいのかということであれば、公共放送として成り立たない」と電通の問題などの働き方に関するニュースを取り上げてきたとした。

 例えば、今年の7月27日には「密着・電通“働き方改革”はなるか?」と題して「クローズアップ現代+」が特集を組んでいる。

 ただし、「これをご両親がどういう思いで見ていたかということは別なことと思います」という点も強調した。「ご両親がそれを伝えるNHKをどう見ていたかをこの夏以降に聞かせていただき、こちらとしても忸怩たる思いもあります」とし、内容の詳細は伏せたが両親側から何らかの思いを伝えられたことを明かした。山内部長は「公表以降はそこも踏まえて伝えていくことになると思っています」と今後は、何らかの配慮を加えていくことをうかがわせた。

 上田会長は「働き方改革については、放送でも労務の面でも不断にしっかりと取り組んでいきたいと思っています」と語った。

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