暴言の豊田議員 「ハゲ!」は名誉毀損かパワハラか「行列」北村晴男弁護士に聞く

 自民党の豊田真由子衆院議員(離党届提出)が政策秘書だった男性に対し「このハゲ!」などの暴言を投げつけた。人に対し、「ハゲ」とののしることは名誉毀損罪や侮辱罪に当たるのか。また、政治家が秘書に対してこのような発言をするとパワハラ(パワーハラスメント)に当たるのか。日本テレビ「行列のできる法律相談所」に出演する北村晴男弁護士に聞いた。

 名誉毀損罪、侮辱罪とも条文には「公然と」と記されており、「公然」とは不特定、または多数の人が知ることのできる状態を指す。従って、不特定または多数の人前でののしられれば、これらの罪に該当する可能性がある。問題の音声は豊田議員と秘書が車中にいた時のもので、北村弁護士は「一対一であれば罪にはならない」と指摘した。

 では、例えば会社内でうっかり誰かを「ハゲ!」と罵倒してしまったら罪に問われるのか。北村弁護士は、社内であればそこにいる人間は基本的に「不特定」ではなく「特定」であることから、「多数の前だったかどうかが問題になる」とした。しかし、何人をもって「多数」と判断されるのかは必ずしも明確になっていないという。北村弁護士は「最低でも10人は必要だろう」との見解を示した。というのは、「家庭内の悪口程度で犯罪が成立するのは適切ではない」からだ。

 秘書に絶叫調で怒鳴り立て、殴っていると思われる音声がテレビやネットで広まっていく豊田議員。北村弁護士は、刑法上の名誉毀損罪、侮辱罪に当たらずとも「民法上の不法行為に当たる。いわゆるパワハラです」と述べた。厚生労働省はホームページでパワハラの定義について「同じ職場で働く者に対して職務上の地位や人間関係などの職場内での優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与えるまたは職場環境を悪化させる行為」としている。

 民法上の不法行為は709条によって定められ「故意または過失によって他人の権利または法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う」としている。

 北村弁護士は豊田議員について「成功した中小企業のワンマン社長に時々見られるタイプ。自分の思い通りにならないはずがないと思っている人にこういう傾向が見られる」と長年の弁護士経験を踏まえて分析した。大企業のサラリーマン社長にはあまり見られないという。長くサラリーマンを経験すれば上司から怒られ、顧客からも怒られ、その上家庭でも妻から怒られる。そういったことを経験すると「世の中は自分の思い通りにならない」「自分の浅はかな行為によって思わぬしっぺ返しを食うことがある」と学習する。

 エリート街道を歩んできた豊田議員だが、学び忘れたこともあったようだ。

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 北村晴男(きたむら・はるお) 弁護士。長野県出身。日本テレビ系「行列のできる法律相談所」にレギュラー出演。趣味はゴルフ、野球。月2回スポーツなど幅広いテーマでメールマガジン「言いすぎか!!弁護士北村晴男 本音を語る(まぐまぐ)」を配信中。

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