春団治さん死去、ゆかりの人別れ惜しむ

 戦後、上方落語の復興に尽力した「上方落語四天王」最後の一人で、気品ある振る舞いと話芸で人気を集めた三代目桂春団治(かつら・はるだんじ、本名河合一=かわい・はじめ)さんが9日午前0時11分、心不全のため大阪市阿倍野区の病院で死去していたことが14日、分かった。85歳。大阪市出身。葬儀・告別式は親族や直系弟子らで済ませた。喪主は妻成子(しげこ)さん。

 春団治さんと付き合いのあった関係者らは、上方落語の名人の死を惜しんだ。

 通夜に参列した関係者は「本当にきれいで、眠っているようなお顔でした」と声を落とした。上方落語協会副会長も務める弟子の桂春之輔(67)は「自分の哲学を見事に貫いた。大往生だと思います」とかみしめるように話した。

 春団治さんは「四天王」の中で唯一、定席「天満天神繁昌亭」(2006年完成、大阪市北区)で落語を披露した。恩田雅和支配人は「磨き上げた芸で上方落語の良さをお客さんに伝えてくれた存在だった」と惜しみ、「名人が舞台に残した魂を継いで、途絶えないようにしたい」と話した。

 多くの落語家が立ち寄る繁昌亭近くの喫茶店には、春団治さんも時折、奥さんと一緒にコーヒーを飲みに来ていた。店主の井上和彦さん(71)は「歌舞伎役者のような端正な雰囲気だった。最近は元気だという話を聞いていたので驚いている。本当に残念だ」と目に涙を浮かべた。

 大阪府池田市内の受楽寺境内には、初代と二代目を顕彰する「春団治之碑」が立つ。毎春、一門が碑の前に集まり法要を行ってきた。住職の稲津智秀さん(59)は「上方落語をつくり上げた恩人だった。ご苦労さまと言ってあげたい」と、春団治さんとの20年来の親交をかみしめるように語った。

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