仲代達矢に文化勲章

 政府は30日、2015年度の文化勲章を俳優の仲代達矢(82)ら7氏に贈ることを決めた。歌舞伎以外の俳優では、91年の故森繁久彌さん、00年の故山田五十鈴さん、05年の故森光子さん、13年の故高倉健さんに次いで5人目。健さんと同じく82歳での受章となる。

 仲代は「俳優は1人でできるわけじゃない。作品があり監督、スタッフがいて。『無名塾』のスタッフ、若者たちに支えられてやってきたのでみんなと一緒に喜びたい」と周りの支えあっての受章を強調した。

 俳優を育成する「無名塾」は75年に妻・故宮崎恭子さんと設立。俳優・役所広司(59)や女優・若村麻由美(48)らを輩出した。

 96年に亡くなった宮崎さんが生前使っていた椅子を隣に置き、「無名塾」で会見を行った仲代は「すてきな章を頂いたよ」と仏壇の前で報告をしたという。「(宮崎さんは)『よくやったね』と褒めてくれると思います。しかし、『これを機にもっと先へ進んでくれ』と言ってるんじゃないかとも思います」とはにかんだ。

 52年に俳優座養成所に入所。自身も俳優人生の中で1番の代表作とする「切腹」(62年、故小林正樹監督)や、「影武者」(80年、故黒澤明監督)などの映画に出演、テレビドラマでも重厚感のある演技が評価された。黒澤監督が85年に同章を受けた際は、大喜びで酒を酌み交わしたといい、「そうそうたる人たちに手厳しく訓練されてここまで来た」と60年以上の俳優生活を振り返った。

 親授式は11月3日に皇居で行われるが、仲代は31日から舞台「おれたちは天使じゃない」を全国各地で行うため、出席できない。しかし、それも現役であるからこそだ。同舞台は来年4月29日の千秋楽まで。合計105ものステージに立つ。

 「あと幾日かで83歳。現役の俳優生活もそろそろと思っている時期にすてきな章を頂いて。じゃあ、もう少しやろうかなと“スケベ根性”が多少生きてまいりました」。ちゃめっ気たっぷりの言葉の中に、俳優としてさらに飛躍していく意欲をのぞかせた。

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