石川遼「信じられない」30代円熟味見せた 雨中のPO制し2年11カ月ぶりV
「男子ゴルフ・三井住友VISA太平洋マスターズ・最終日」(13日、太平洋クラブ御殿場=パー70)
石川遼(31)=CASIO=が2年11カ月ぶりに優勝、通算18勝目を挙げた。スーパールーキー、蟬川泰果との最終日最終組対決は69で回って完勝。通算8アンダーで並んだ星野陸也とのプレーオフに持ち込み、2ホール目にバーディーを決めて歓喜の声を上げた。蟬川は76と振るわず、通算4アンダーで8位に終わった。
4日間の総入場者数は2万6702人。近年まれに見る人気ぶりとなった大会のフィナーレを締めたのは、3年近く優勝から遠のいていた石川の笑顔だった。「正直、信じられません。ありがとうございました」。2ホールにわたったプレーオフ(PO)の最中、冷たく激しい雨が降り続いたが、18番グリーンを取り囲んだまま帰らない多くの観客たちに、日本ツアーの看板選手は素直な言葉で感謝した。
立ち上がりの4ホールで三つバーディーを決め、3打差あった蟬川を序盤で逆転した。14番で2打目を池に入れてダブルボギーにし、一時後退したが、すぐに15番で4メートルをねじ込んでガッツポーズ。PO1ホール目は1・8メートルを外したが、2ホール目で4メートルを決めた。
石川は今、いつでも2メートルのバーディーパットを打つことを目指してプレーしている。PO2ホール目は、第1打をOBラインもちらつく右林に曲げた。「イーグルを狙っていたら、あのミスで(落ち込んで)終わっていた」という。だが、冷静に2打目を次打が打ちやすい残り130ヤード地点に出した。「あのショットは、ほぼ100点満点です」。
9月のANAオープンでもPOに進んだが、1ホール目で大槻智春の奇跡的なイーグルショットで敗れた。「あのときは(首位と6打差で始まった最終Rが)あまりにも自分の流れすぎた。後半には正直、優勝できる、これまで頑張ってきて成長できたな、と浸っている部分があった」と振り返る。だが、勝てなかったことで、目指すスイングをさらに謙虚に追い求めることにつながった。今では「あのとき、勝てなくてよかった」と思っている。
今大会は2万6000人以上の観客が集まったが、入場が無料だったという側面もある。次は「お金を払ってでも、来てもらえるようにしたい」。30代になって初めての優勝はプレーの円熟味を見せたが「まだまだ、でこぼこ。これからも自分に磨きをかけないと」と貪欲。蟬川や中島啓太、河本力ら20台前半の選手たちの挑戦を受けて立つ。




