東京五輪バタフライ銀メダル本多灯被告に拘禁1年求刑「運転2度としない」被害者は「若くスポーツ選手。強い処罰は望んでいない」スポーツカーに対抗心で速度超過

 自動車運転処罰法違反(危険運転致傷)の罪に問われた、競泳男子21年東京五輪200メートルバタフライ銀メダルの本多灯被告(24)の初公判が25日、東京地裁立川支部で開かれ、検察側は拘禁刑1年を求刑した。弁護側は執行猶予付きの判決を求めた。

 起訴状によると、昨年11月21日、東京都多摩市愛宕4丁目の制限速度が時速30キロの道路を、時速88~108キロで運転し、対向車線にはみ出して向かいから来た車と衝突。相手に28日の加療を要する顔面打撲や胸骨骨折などのけがを負わせた。本多被告は「間違いありません」と起訴内容を認めた。

 紺のスーツにストライプのネクタイを締めた姿で出廷した。表情は変えず、目線は正面の一点を見つめたまま。質問には常に低く細い声で応え、「とても危険な運転で一歩間違っていたら、もっと大きな事故になっていた。今後運転は2度とせず、罪を償って自分の行動を改めていきたい」などと謝罪と反省の言葉を繰り返した。

 検察によると、事故は水泳の練習に向かうために、毎日使用する道路だった。事故当日は赤信号で停止中に、前に止まるスポーツカーを発見。検察は「スポーツカー好きで、前の加速に対抗心が燃えた。負けたくないと思い速度を上げた」という気持ちが本多被告にあったと、説明した。

 本多は過去に同じ道路で速度超過はなかったと主張。今回の事故は、国際大会を控えた日々の練習のストレスから「冷静な判断ができなかった」と説明した。事故前の直線では「130キロ」の表示を目視。慌ててブレーキをかけたが、「パニックになってはみだした。頭が真っ白になった」と事故につながったという。

 現在、車は廃車とし、所有車はなし。被害者には約3度の電話で謝罪し、保険による賠償に加えて「(被害者に)車を買ってほしいという気持ちがあった」と自ら150万円を支払ったという。検察によると、被害者側は「若く、スポーツ選手。頑張ってほしい。強い処罰は望んでいない」と話しているという。

 初公判は約45分で終了した。検察は「危険かつ無謀で悪質。情状酌量の余地はない。『(スポーツカーに)追い付きたい』という身勝手な考え」などと非難し、拘禁刑1年を求刑した。

 本多被告は日本代表に名を連ねる競泳の有力選手。今年はパンパシフィック選手権(米アーバイン)、愛知・名古屋アジア大会の代表に決まっていたが、この一件を受けて辞退した。

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