フラッグフットボール 世界選手権Vで五輪切符つかむ 日本代表・山本深由奈「金メダル目指してやりたい」
2028年ロサンゼルス五輪は、14日に開幕まで2年を迎えた。1932年、84年に続いて3度目の夏季五輪開催となる全米屈指のスポーツ都市で、史上最多の36競技が行われる。初めての実施となるフラッグフットボールの女子日本代表QB/DB山本深由奈(みゆな、27)=千里山ブラックジャガーズレディース=がこのほどデイリースポーツの単独インタビューに応じ、競技の魅力や五輪への思いを語った。
五輪初代女王の座を狙い、スタートを切る。2年後のロサンゼルス五輪で初めて採用されるフラッグフットボール。山本は「金メダルを目指してやりたい」と、静かに闘志を燃やした。
フラッグフットボールは、アメリカンフットボールが起源。1チーム5人で、楕円(だえん)形のボールを相手のエンドゾーンまで運び、点数を積み重ねていく。タックルはできず、選手の両腰につけた「フラッグ」を取って相手の攻撃を止める。戦略も重要。どのような道筋でボールを運び、相手をかわすか、頭脳戦にもなる。
山本が心を奪われたのは小学2年生のころ。「初めての体験会でタッチダウンを取った。『何でこんなに楽しいんだ』と衝撃だった」と、とりこになった。中学から大学までは他の競技にも挑戦したが「楽しいという思い出が頭から抜けない。どんなスポーツをやっても、それ以上の楽しさが見つけられなかった」と明かす。大学卒業後は子どもたちにフラッグフットボールを教える夢をかなえるため、小学校の教諭になった。1度の転職を経て、現在は退職し、代表活動に専念している。
これほどにのめり込む理由は「自分たちが作り上げてきたものが、そのまま試合に出るところが魅力」だからだ。プレー中には選手が輪になって作戦会議をする時間があり、いかに攻めるか、守るかを話し合う。「外から見たら『何を話してるんやろう?』と思うかもしれないけど、それがうまくできた時に達成感がある」と醍醐味(だいごみ)を口にした。
ロサンゼルス五輪への出場に向け、代表で鍛錬を積んでいる。出場権をつかむチャンスは、まずは8月の世界選手権(ドイツ)。五輪開催国の米国を除く上位2カ国が五輪切符を手にする。2強は米国とメキシコで、日本は24年世界選手権銅メダル、昨年のアジア・オセアニア大陸選手権3位、世界ランクは5位だが、2強以外の力は横一線だ。
体格差もある強豪国に勝つため、重要視するのがコミュニケーション。「戦略とか、チームワークで勝っていかないと、個人技ではなかなか勝てない」。チームでは練習で2人組をつくり、意識的に会話する「バディ制度」を取り入れている。「意識的にその人を見て、フィードバックをする。ちょっとしたコミュニケーションを大事にしている」。チーム一丸となって五輪出場を目指している。
山本にとって五輪は小学生の時からの憧れだった。当時は五輪種目ではなかったが「小学生の時、自分の夢は『オリンピックに出ること』と書いていた」と夢見てきた場所。「『フラッグでオリンピックは正直ない』とみんなに言われていたし、自分の中でもないと思っていた」というが「オリンピック種目になるまで認知度が上がったんだと思うとうれしい」と喜びを口にする。
夢が現実になりかけている今、週3日のトレーニングに加え、週末はチームで練習。使える時間を全て費やし、競技と向き合っている。「自分が目指せる環境にあるというのは、もう一段、フラッグに対する思いが強くなった」と言葉に熱がこもる。「楽しみでもあるけど、責任も伴うし、覚悟もいると思っている。今の目標は世界選手権優勝」。五輪での戴冠を手にするべく全力を注ぎ込む。
◆山本深由奈(やまもと・みゆな)1999年1月4日、兵庫県伊丹市出身。小学2年のときに「鈴原ファイティングローゼズ」でフラッグフットボールを始めた。伊丹市立南中時代はバドミントン部に所属。武庫川女大付高ではハンドボール部で全国大会を経験した。武庫川女大ではタッチフット部に入り、日本選手権優勝。卒業後は小学校教諭となり、2年目で「千里山ブラックジャガーズレディース」に加入。バスケットボール、陸上、体操、新体操も経験した。趣味は旅行。163センチ。
◆フラッグフットボールの五輪への道 ロサンゼルス大会で初めて採用され、男女各6チームが出場する。ドイツで行われる世界選手権で、既に男女ともに出場権を得ている米国を除く上位2チームに入れば出場権を手にする。各大陸選手権で上位に入った16チームが参加。4組で1次リーグを行い、各組上位2チームが準々決勝に進出する。世界ランク5位の女子日本代表は1次リーグD組。ブラジル(同15位)、パナマ(同12位)、カナダ(同4位)と戦う。残りの3チームは28年の5、6月に開催される最終予選(開催地未定)で決まる。
◆2028年ロサンゼルス五輪 7月14~30日に開催される。1932年、84年に続く3度目の夏季五輪。高機能の既存施設をフル活用し、史上最多の36競技が行われる。追加競技はフラッグフットボールのほか、野球・ソフトボール、クリケット、ラクロス、スカッシュの5競技。フラッグフットボールとスカッシュは初実施で、野球・ソフトボールは2大会ぶり、クリケットは128年ぶり、ラクロスは120年ぶりの復帰になる。開閉会式は過去2度の五輪でメインスタジアムになったメモリアル・コロシアムで行われる。
