日本勢メダル1号!勝木隼人 2人の子供に届けた銅「取れてほっとしている」“暑熱対策の鬼”と化し体づくり 35キロ競歩

 35キロ競歩で銅メダルを獲得した勝木隼人(撮影・石井剣太郎)
 3位でゴールする勝木隼人
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 「陸上・世界選手権・35キロ競歩」(13日、国立競技場周回コース)

 35キロ競歩の男子は勝木隼人(34)=自衛隊=が2時間29分16秒で3位に入った。日本勢のメダル獲得第1号で、自身初の表彰台。川野将虎(26)=旭化成=は18位で、女子は梅野倖子(22)=LOCOK=の15位が日本勢最高だった。

 必死の形相でゴールラインを越えると、一気に表情が緩んだ。勝木が日本勢大会第1号メダル。銅メダルを首にかけ、国立競技場の真ん中で日の丸を堂々と掲げた。

 「最低限メダルというところは、日本の長い距離の伝統だった。取れてほっとしている」

 積極的に攻めた。スタート時の気温は26度、湿度は77%。まとわりつくような気候の中、競技場を出るところで先頭に立った。一時順位を落としても粘り続け、2番手だった終盤30キロ過ぎ地点でボンフィム(ブラジル)に抜かれた。「簡単には勝たせてくれない」と苦笑いしたが、メダルは死守。「作戦がうまくハマった」とうなずいた。

 実績を残してきた50キロは21年東京五輪を最後に正式種目から外れ、転向を余儀なくされた。今大会を見据え“暑熱対策の鬼”と化した。昨夏は「かけ水や氷を使わなかった」と、暑さの厳しい陸上自衛隊の朝霞駐屯地で体にムチを打った。今夏は7月に2週間、菅平で高地合宿を行ったが、それ以外は朝霞で練習。「2年間準備してきた。暑さ対策だけは他の選手にひけを取らない」と、自信を携え世界に臨んだ。

 関東に拠点を置いたのは、暑さに強い体づくりのためだけではない。勝木にとって家族が一番の癒やし。「2人の子どもといる時の心のコンディションがいい。出る前に『パパ、金メダル取ってね』と言ってくれる」。遠征はできるだけ控え、自宅で心の休息を取ることが強さの源だった。

 「日本選手が盛り上げていく試合にしないとと思っていた。メダル獲得という最高の形」。これから戦うチームジャパンを勢いづけた。34歳のベテランが狙っていたメダルを見事に射抜いた。

 ◇勝木 隼人(かつき・はやと)1990年11月28日生まれ、福岡県出身。武蔵台高から東海大を経て、自衛隊所属。35キロ競歩で3月の日本選手権優勝。50キロ競歩では18年ジャカルタ・アジア大会金メダル、19年世界選手権27位、21年東京五輪は30位。

 ◆競歩のルール 歩く速さを競うため、両足が同時に地面から離れてはならず、踏み出した足が着地した瞬間から脚が地面と垂直になるまで膝を曲げてはいけない。審判員は反則が疑わしい場合に注意を与え、違反していると目視で判断した場合はレッドカードを出す。3枚目のレッドカードを出されるとペナルティーゾーンに所定の時間とどまらなければならず、4枚目で失格となる。

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