男子400メートル・佐藤風雅 日本選手権で異例の失格取り消しで優勝「気が引き締まった」 3大会連続代表、国立に地鳴り起こす

 男子400メートル決勝でゴール後喜ぶ佐藤風雅。その後失格となったが、最終的に代表切符を手にした
 男子400メートル決勝で力走する佐藤風雅(左)=7月6日
2枚

 陸上の世界選手権東京大会は13日から21日までの9日間、国立競技場をメイン会場に開催される。出場選手紹介2回目は、男子400メートルと1600メートルリレー代表の佐藤風雅(29)=ミズノ=をピックアップする。日本選手権400メートルでの失格が8月下旬に取り消され優勝となり、舞い込んできた3大会連続の代表権をつかんだ。パリ五輪の悔しさをバネに、国立競技場で“地鳴り”を響かせる。

 舞い込んできた代表権を無駄にしない。3大会連続の代表入りを果たした佐藤は「日本選手権以降、さまざまな経緯があっていろんな思いをしたが、国立で頑張りたい」と拳を握った。

 紆余(うよ)曲折の末につかんだ世界切符だ。7月の日本選手権は1番手でゴールテープを切ったが、レーン侵害で失格。代表権を争う一戦に「やりたかったレースができていただけに悔しい」と唇をかみ、他のレースで参加標準記録の突破を狙うしかなかった。

 しかし、8月25日に状況は一変。日本陸連が失格を取り消し、佐藤は優勝となり世界選手権の代表権を得た。日本選手権の結果を「素直に受け止めた。メンタルはそこまで落ちていなかった」と振り返るが、結果の変更には「複雑な思いをする選手も出たと思う」と神妙な面持ち。それだけに「気が引き締まった」と覚悟をにじませた。

 走りに関しては「いかにリラックスした状態でスピードを出すかが永遠のテーマ」だという。昨夏のパリ五輪は予選で組6着。「後半で失速した」という反省が残った。それからは「400メートルそのものを一定のリズムで走れる感覚」をつくり、持ち味である前半の力強い走りを組み合わせる練習に励んだ。先月の富士北麓ワールドトライアルでは45秒16をマークするなど順調で、「400メートルをうまく走ることができている」と視界良好だ。

 「競技者として本当に尊敬できる」という所属先の先輩、やり投げのディーン元気、200メートルの飯塚翔太の背中を追ってきた。「いろいろ相談に乗ってもらっている」と助言をもらうこともあるという。「2人は『30代から陸上競技は始まる』と言っていた。2人に見えている景色をやっと来年見られる」。来年30歳を迎える佐藤も納得のいく結果を出し、同じ境地を目指す。

 目標は決勝進出。国立競技場で“地鳴り”を起こす走りを見せる。「(海外で)いい結果を出した時、地鳴りのような熱量を感じた。自分の国で自分の結果で、それができたらどれだけ気持ちいいか」。予選での自己ベストは最低限。準決勝は「日本記録ちょうどでも通らない」と、佐藤拳太郎(富士通)が持つ44秒77の更新が壁だ。運も味方につけた29歳が、東京の舞台で風を切る。

 ◆佐藤風雅(さとう・ふうが)1996年6月1日、茨城県出身。中央高から作新学院大に進学し、ミズノ所属。22年に日本選手権制覇。パリ五輪は男子400メートル、男子1600メートルリレー代表として出場。自己ベストは23年世界選手権の44秒88。

関連ニュース

編集者のオススメ記事

スポーツ最新ニュース

もっとみる

    主要ニュース

    ランキング(スポーツ)

    話題の写真ランキング

    写真

    リアルタイムランキング

    注目トピックス