日本選手権結果が異例の訂正 レースから50日、陸連が男子400m佐藤風雅の失格取り消しを発表 内側レーン侵入での失格から優勝に ルール解釈の誤認も
日本陸連は25日、7月に開催された日本選手権男子400メートル決勝で失格となった佐藤風雅(29)=ミズノ=について失格の取り消しを発表した。佐藤は3年ぶり2度目の優勝となった。同レースから50日が経過し、世界選手権(9月、東京)開幕まで1カ月を切った時期に異例の訂正となった。
今年の日本選手権は、自国開催の世界選手権の代表選考を兼ねた最重要大会だった。佐藤は7月6日の同レースで45秒28の1着でゴールしたが、その後、最終コーナーで左足が内側レーンに侵入したとして失格となり、0秒01差の2着だった今泉賢貴(内田洋行AC)が繰り上がりで優勝となっていた。佐藤は失格後は「2歩踏んでしまった。失格にならないでくれ!という気持ちでいっぱいだった」と語っていた。
日本陸連によれば、佐藤の所属であるミズノからの抗議及び上訴の問い合わせを受け、本来抗議・上訴は競技会の中で行われるが、大会当日の抗議におけるルール解釈、ジュリーへの資料提出に関して十分な手続きが講じられていなかったと判断し、19日にジュリーに再考する場を設け、再審議した。
失格を巡っては同レースの監察員が「第2曲走路出口付近で2歩ラインを踏んだ」と審判長に報告、映像・画像確認により明確な「1歩完全に踏み越えた」画像が存在したため、失格と判断された。ミズノからの抗議を受けたが、審判長は失格の裁定。ミズノは不服とし上訴したが、ジュリーも失格の裁定を支持した。
19日の再審議ではジュリーが資料・画像・動画、さらに審判長への口頭確認などをもとに総合的に検討し、「1歩完全に踏み越えた」との判定が取り消しに。ただ、審判長は大会当日の監察報告にも記されていた「2歩ラインを踏んだ」事実について、画像および動画を精査した結果、失格の裁定は維持されるべきと判断し、失格理由を「1歩完全に踏み越えた」から「2歩ラインを踏んだ」に変更した。
ただ、「2歩ラインを踏んだ」という失格理由については大会当日の抗議手続きにおいても触れられていなかったことからミズノに改めて抗議を受け付けることを通告。ミズノから新たに示された失格理由に対する抗議を受理し、抗議の場を設けたが、審判長は「2歩ラインを踏んだ」ことを理由とする失格裁定を維持する決定を下した。ミズノは上訴し、22日にジュリーが審議。「2歩ラインを踏んだことによる失格」の裁定を棄却した。
その後、日本選手権決勝出場選手、関係者に訂正を通知し、抗議があったが、失格取り消しの裁定を変更しないことを決定。上訴もあったが、ジュリーは裁定を支持した。
陸連によるとルール解釈の誤認もあったとし、「接地の一連の動作の中で踵がラインを踏んでいる場合があったとしても、接地面となる足がすべてラインを越えていた瞬間がある場合は失格となる」と認識していたものが、正しくは「接地面となる足(つま先部分)がラインを完全に越えていたとしても、一連の接地の動作の中で踵がラインを踏んでいる場合は、踏み越えているとはならない」だったとした。
24年パリ五輪代表の佐藤は9月の東京世界選手権で3大会連続の世界選手権出場を目指していた。世界陸連のリザルトも更新されており、優勝になったことで世界ランキングポイントが加算される見込み。現在世界ランク50位で圏外だったが、出場圏内の48位以内に浮上する可能性が高まった。





