日大アメフト問題で林真理子理事長に辞任求めず、「失言に近い」「職務上の義務に反する行為」第三者委
日大アメリカンフットボール部の違法薬物事件で、日大の対応を検証する第三者委員会(委員長・綿引万里子弁護士)が31日、調査報告書を公表し、都内で記者会見を行った。報告書では、薬物に関する学内対応には複合的な原因があり、林真理子理事長らによる「ガバナンス(組織統治)が機能不全に陥っていた」などと指摘。「得られた情報を自己に都合よく歪曲(わいきょく)」「誤った判断基準に基づいた対応」と言及した。
記者会見では、林理事長、酒井健夫学長の辞任について質問があった。旧ジャニーズ事務所の問題で第三者委員会がジュリー喜多川氏の辞任を求めたことを前例としたものだが、綿引委員長は「この法人をどうしたいかは、この法人自身が考えなくてはいけない」と、第三者委としては辞任を求めることはないとした。
林理事長については、8月2日の囲み取材で「違法な薬物が見つかったとか、そういうことは一切ございません」と発言したことを、「失言に近い」と綿引委員長は明言。事前に「違法な薬物は確認できておりません」というプレスリリースの案文が決定されていたため、同じ回答をしようとしたためと説明し、「ウソ」をついていたわけではないとの解釈を示した。
一方で、報告書では「一種の失言とはいえ、理事長という立場にある者の発言としては、精確な広報を行うという職務上の義務に反する行為と評価せざるを得ない」と結論づけた。また、この発言の直後、8月3日に2回目の捜索差押えがあり、5日に大麻取締法違反等で逮捕者が出る結果になったため、大学法人が「事実を隠蔽していたとの印象を与え、社会からの信用を大きく失った」と指摘した。





