高飛び込み・15歳玉井陸斗「人生が変わるような自信に」 史上初「銀」&最年少表彰台

 笑顔で銀メダルを見せる(前列左から)三上紗也可、玉井、金戸凜。後列は左から馬淵崇英コーチ、安田千万樹ヘッドコーチ 
 男子高飛び込み決勝で前宙返り4回転半抱え型(109C)を演技する玉井の連続合成写真
 銀メダルを獲得した玉井陸斗の演技
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 「水泳・世界選手権」(3日、ブタペスト)

 男子高飛び込みの玉井陸斗(15)=JSS宝塚=が日本勢史上最高の銀メダルを獲得した。2001年大会で男子3メートル板飛び込みの寺内健らが獲得した3位を上回り、日本最年少で表彰台。決勝で488・00点をマークし強敵中国勢に割って入る快挙。2年後のパリで初の五輪メダルへ弾みをつけた。

 玉井が水の中に消えるたびに会場が揺れる。1本目、水しぶきの立たないノースプラッシュで流れに乗った。3本目は大技109C(前宙返り4回転半抱え型)を成功。優勝した楊健の102・50点に次ぎ、この日、2番目の高得点となる99・90点をたたき出した。

 4位で迎えた最終6本目。玉井は何と台の上で笑った。メダルの懸かる局面にもかかわらずメンタルが半端ではない。得意の5255B(後ろ宙返り2回転半2回ひねりえび型)を完璧に沈め、95・40点。表彰台を決めて拳を揺らし、何度もガッツポーズを見せた。

 日本最年少で史上初の銀メダル。最大の壁、中国勢の一角を崩した意味は大きい。「勝てるはずのない存在だったが、中国選手1人に勝てたのは、人生が変わるような自信につながった」と、会心の演技に胸を張った。

 4日は母・美里さんの45歳の誕生日。毎日の食事、生活面を支えてくれる一番の応援者に勇姿と最高のプレゼントを届けた。表彰式後は馬淵崇英コーチ(58)の首にメダルをかけて感涙させた。

 練習を共にする五輪最多6度出場のレジェンド・寺内がテレビ解説を務めた目の前で歴史を塗り替えた。玉井は「今まで寺内選手の記録を塗り替えてきたが、これ以上にないくらい、うれしい記録を塗り替えられた」と“恩返し”を喜んだ。

 14歳で出場した昨夏の東京五輪。初出場ながら7位入賞を果たしたが、「入水の技術や思い切り飛ぶ勇気が足りなかった」と猛省。すぐに24年パリ五輪へ向けて始動した。

 高飛び込みと板飛び込みの両方に挑戦する“二刀流”を目標に掲げ、主に下半身のウエートトレーニングに取り組み、ジャンプ力を強化。「演技に高さが出るようになった。余裕ができて入水技術も自然と上がった」と手応えを感じ、今大会での快挙につなげた。

 夢舞台からわずか1年で世界の頂点に手が届く位置まで駆け上がった。成長力は計り知れない。「パリ五輪は金メダルを目指して頑張りたい」。日本が五輪の飛び込み競技に初参戦したのは1920年でメダル獲得は一度もない。104年の悲願達成を15歳エースが請け負う。

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