小平奈緒 連覇への原動力 昨季リンゴユニホームで試合「応援できる人でありたい」

 昨季はリンゴが描かれたユニホームで戦った小平
 被害を受けたリンゴ畑(やまだい農園提供)
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 2022年2月4日の北京冬季五輪開幕まで27日であと100日。18年平昌五輪スピードスケート女子500メートル金メダルの小平奈緒(35)=相沢病院=は地元長野への思いを胸に鍛錬を続けている。19年10月13日、台風19号で千曲川の堤防が決壊し、周辺のリンゴ農家が甚大な被害を受けた。小平はボランティアに参加し、昨季はユニホームにリンゴをデザインするなど被災地を思った活動をしている。昨年はリンゴ狩りに訪れ、100年続くリンゴ農家・やまだい農園の西沢穂孝さん(40)は小平の「愛」に感謝。北京へ「家族のような気持ちで見守っている」と約束した。

 信州リンゴ発祥の里の一つと言われる長野市赤沼。収穫を間近に控えた19年10月、明治時代から続くリンゴの里が水に覆われた。

 小平はシーズンオフの20年3月、個人で申し込みをしボランティアとして現地を訪問。「応援されることが多いけど、人を応援できる人でありたい。自分を重ねて(努力が)実った姿を一緒に共有したい」と、昨季はリンゴがプリントされたユニホームで戦った。

 昨年10月、リンゴ狩りに訪れたのが、やまだい農園だった。決壊現場から約2キロにあり、水位は約2メートル30センチに達した。自宅は1階が浸水し、倉庫は建て替えた。

 「収穫間際のリンゴはほぼ水没。ほとんど採れなかった」。水に浸ったものは廃棄せねばならず、手塩にかけて育てたリンゴを地面へと落とした。

 リンゴ狩りを終えた小平と一緒に、西沢さんは爪痕の残る決壊現場付近を見て回った。

 「被災地域への気持ちを本当に持って、自分の気持ちで動いてくれる人。ユニホームも、心意気に感動する。言葉にするのは難しいけど、愛を感じます」

 小平は被災地域と関わる経験を「練習や普段の生活では得られない力になる。色んな人の目線で色んなことを感じ取れたのは、私の人生を充実させてくれた」と話している。

 ここから北京五輪への戦いが本格化する。五輪では連覇の期待も懸かる。3代目の良孝さん(74)は小平へ「そんなに頑張らなくていいよ」と声を掛けたという。

 「お互いに応援し合える関係になれれば」と西沢さん。「悔いが残らないようにやってほしい。僕らは結果ではなく、ただありがとうと言いたいので。おこがましいけど家族のような気持ちで見守っています」。被災から2年。真っ赤に実ったリンゴを手に、温かく優しいエールを送った。

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