遠藤が照ノ富士撃破 逆転初Vへ執念!物言いの末に劇的11勝目「ハハ、良かった」
「大相撲夏場所・14日目」(22日、両国国技館)
西前頭8枚目の遠藤が単独トップの大関照ノ富士をド執念の下手投げで破り3敗を死守。物言いの末、軍配差し違えの劇的11勝目。千秋楽、2敗トップの照ノ富士が3敗で追う貴景勝と直接対決。照ノ富士が勝てば2場所連続4回目の優勝、負ければ決定戦。照ノ富士が負け、遠藤が大関正代に勝った場合はともえ戦になる。
観客がかたずをのんで見守る。3分超の審議を終え伊勢ケ浜審判部長(元横綱旭富士)が「照ノ富士の手が先に付いており軍配差し違え」とアナウンス。万雷の拍手の中、遠藤は急に表情を緩めた。
実は放送が聞こえず“時間差”で判定を知った。「ハハ、良かったって。軍配が変わって、良かった、良かったって思っただけです、ヘヘ」。インタビュー室では笑って勝利の瞬間の感情を明かした。
終盤の大関連破。懸賞はペロリと舌をなめニコニコで受け取った。豊かな表情は気負いのなさを感じさせる。
強い照ノ富士相手に攻め抜いた。もろ差しで出て小手に振られたが外掛けで防ぐ。下手投げを打つと相手は強引な小手。土俵際、驚異のバランスで体を残した。相手軍配も物言いが付き判定逆転。パワーを技能が制した。
「自分から攻めないとと思った。必死だった。先に相手の手が付いていればと思った。我慢して良かった」と喜び。11勝は16年秋場所以来、5年ぶりだ。
照ノ富士の14日目Vを阻止。千秋楽に決着を持ち込む大勝利を「一日無事に終わったんだなという感じ」とクールにかわした。
千秋楽、まずは自身が正代にも勝ち、ともえ戦に望みをつなぐのみ。「(V争いは)そんなピンと来ない。あした最後だから特別ということはなく引き続き集中してやる」と平常心を強調した。
今場所初めてリモート取材にも応じた。「まあしっかり集中してやるだけでした。はい、あしたも頑張ります!ありがとうございました!」と珍しく大声。膝、足首…、けがに泣き続けた苦労人が逆転初賜杯チャンスを自らたぐり寄せた。





