京都成章、後半力尽き完敗も「満足」 自主性重視の指導法で湯浅監督34年目初準V

 「全国高校ラグビー大会・決勝、桐蔭学園32-15京都成章」(9日、花園ラグビー場)

 桐蔭学園(神奈川)が史上9校目の連覇を達成した。初優勝を狙った京都成章に32-15で勝利し3度目の優勝を飾った。前半を10-10の同点で折り返したが、後半に3トライを重ねて、ディフェンスが自慢の京都成章を突き放した。第100回の今大会は史上最多63校が出場して無観客で開催された。

 頂点には届かなかったが、悔いはない。表彰式に臨む選手を見つめる京都成章・湯浅泰正監督(56)は少しだけ目を潤ませた。「いい顔してました。アカンのかもしれませんが、満足しているんですよ」と正直に語った。

 前半を同点で終えたが、後半に力尽きた。「桐蔭さんはちょっとしたミスを見逃してくれない。いいチームと決勝で戦わせていただきました」と完敗を受け入れた。

 もうこの景色を見ることはできないと覚悟した時期がある。13年9月、首の腫れを感じ病院に向かった湯浅監督を思わぬ事態が襲う。1週間後に告げられた病名は「咽頭がんステージ4」。ラグビーどころか死をも覚悟し、ボイスレコーダーに“遺言”を残した。その後、手術は成功。家族やチームの励ましで現在がある。

 琉球大卒業後、京都成章に教員採用され、夢だったラグビー部の顧問に就任した。20代の青年監督は伏見工(現・京都工学院)を筆頭とする激戦区京都で勝つために厳しく鍛えた。「僕はせっかちなのですぐ答えを与えていた」と監督からの一方通行の指導だった。

 病床でそれに疑問を覚えた。「選手が考え、成長する機会を奪ってしまっていたのでは」。復帰後、自主性を重視する指導法に転換する。新型コロナの影響で練習も進められなかった今季、常に自分たちで最善を求めてきた選手は花園の舞台で一戦ごとに成長した。

 全国制覇の夢は次回に。「京都に帰って悔しい思いが出てきたら、また頑張ります」。就任34年目の指揮官は、初の準優勝の余韻にしばし浸った。

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