【東田哲也の観戦記】“つけ込む力”と攻守の意思統一が桐蔭学園の勝利の決め手

 「全国高校ラグビー大会・決勝、桐蔭学園32-15京都成章」(9日、花園ラグビー場)

 桐蔭学園(神奈川)が史上9校目の連覇を達成した。初優勝を狙った京都成章に32-15で勝利し3度目の優勝を飾った。前半を10-10の同点で折り返したが、後半に3トライを重ねて、ディフェンスが自慢の京都成章を突き放した。今大会はシード校が1回戦から登場したため、桐蔭学園は史上初めて6勝を挙げての優勝となった。第100回の今大会は史上最多63校が出場して無観客で開催された。

 ◇ ◇

 桐蔭学園の冷静な攻めと守りの意思統一が、2連覇の要因でしょう。ラグビーは、がむしゃらなだけではだめ。チャンスで一気にいく、ピンチだと思えばディフェンスラインをそろえるなど、ここぞという時に共通意識を持つチーム力が必要です。コロナ禍で練習や試合ができず大変だった中で、そこを徹底して練習を積んできたのでしょう。

 後半開始早々に京都成章のパスミスからターンオーバーでトライに持っていったのはさすがでした。同様の場面は他にもありましたが、パスがつながれば京都成章の大チャンス。しかし、ターンオーバーをされればディフェンスはそろっていないため、京都成章の痛手は倍になる。そのような相手の攻めどころでのミスを逃さない、桐蔭学園の“つけ込む力”が光りました。

 両校には点差ほどの実力差はなかったのだと思います。ただ、簡単に優勝できないのが花園。ミスがもったいなかった京都成章は、決勝での第一歩です。この経験が次に必ず生きるでしょう。

 今大会は、桐蔭学園・青木君、京都成章・本橋君の両ロックの活躍が光りました。このサイズ(青木が187センチ、110キロ、本橋が193センチ、113キロ)の選手が、大きいだけでなく走って動けてディフェンスもできる。

 外国人にはいましたが、彼らの突破力を見て、日本にもこんな選手が出てきたとうれしく思いました。日本ラグビー界の将来にとって、大変喜ばしいことです。(六甲クラブ総監督、元日本代表WTB・東田哲也)

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