羽生結弦が320日ぶり登場 コロナ禍「葛藤」も北京へ「僕自身の希望つなぐため」

 「フィギュアスケート・全日本選手権」(25日開幕、ビッグハット)

 フィギュアスケートの全日本選手権が25日に開幕する。男子ショートプログラム(SP)へ向け、ソチ、平昌五輪2連覇の羽生結弦(26)=ANA=が公式練習に参加し、オンラインで取材に応じた。コロナ禍のため、羽生の実戦は2月の四大陸選手権(ソウル)以来320日ぶり。SP、フリーとも新プログラムを用意しており「表彰台の真ん中に立ちたいという気持ちは強くあります」と5季ぶりの奪還へ意欲を示した。

 勝負の銀盤に立つ。羽生は覚悟を決めて長野入りした。周囲に気を配り、常に慎重に行動する羽生のこと。オンラインでの取材には「自分個人の考えとしては、なるべく感染につながる行動はしたくない。どんどん第3波が来ている中で、出ていいものか、かなり葛藤はありました」と正直な思いを口にした。

 実際、この日も日本国内の新規感染者数は過去最多を更新。自身もぜんそくを抱えており、GPシリーズ欠場を決めたのもそのリスクを考慮してのものだった。多くの人が集まる大会に出ることへの迷いはあった。

 それでも「世界選手権へ向けて」出場を決めた。今大会は来年3月の世界選手権(ストックホルム)の選考会を兼ねる。世界選手権は22年北京五輪の出場枠が懸かった大会だ。「僕自身の希望をつなぐために出させていただいた」。多くの人の心がコロナ禍に沈み、迷いを抱える昨今。世界へ希望を届け、自身も未来への希望を見いだす大会とする。

 320日ぶりの勝負のリンクで、届けるのは新プログラム。この日お披露目したフリー「天と地と」は大河ドラマのテーマで、和のテイストとなっている。「題材となるストーリー、伝えたいストーリーはあるけど、そういうのに縛られず、見ていただいた方の感触、その方々の中にある背景に訴えかけられるものがあれば」と思いを込めた。

 SPは英国のスター歌手ロビー・ウィリアムスのアップテンポなナンバー「Let Me Entertain You」。16-17年シーズンのSP「レッツ・ゴー・クレイジー」をほうふつとさせる、キレ味鋭い振り付けが盛り込まれており「わき上がるような感情があればうれしい」と呼びかけた。

 「もちろん表彰台の真ん中に立ちたいという気持ちは強くあります」と羽生。コーチ不在で、1人で練習を重ねてきたが、だからこそ「自分を研究するいい機会になった」という。「自分の中では、ベターじゃなくてベストな練習ができたと思っている。いいコンディションを保ちながら全力で頑張ります」。クリスマスに迎える今季初戦。羽生のその舞で、世界に希望の光をともす。

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