誰かの希望になる池江璃花子の生き方 重圧、苦難も希望胸に前へ

 「競泳・東京都特別水泳大会」(29日、東京辰巳国際水泳場)

 帰ってきた。白血病からの復帰を目指す競泳女子の池江璃花子(20)=ルネサンス=が50メートル自由形で、19年1月13日の三菱養和スプリント以来、594日ぶりにレースに出場し、26秒32をマークした。約1年7カ月ぶりの実戦ながら、組1着の全体5位。自身の日本記録24秒21には届かなかったが、目標に掲げる10月の日本学生選手権(インカレ)の個人種目出場へ、派遣標準記録26秒86を突破した。

 ◇  ◇

 20年2月、退院後初のインタビューを画面越しに見た。痩せてはいたが、笑顔は変わらないなと感じた。その中で池江は、病が発覚した当時の心境を「五輪、金メダルっていう言葉から解放されてホッとした」と話していた。本人も気付いていなかったという、その重圧。正直、驚いた。

 だからこそ「パリ五輪」という言葉が気がかりだった。再び重圧と戦わねばならない。無理をしていないか、もうそんなに背負わなくてもいいのではないか、と-。

 池江は先日、世界へ向け「希望が遠くに輝いているからこそ、どんなにつらくても前を向いて頑張れる」と発信した。水泳は希望。希望を胸に前へと進み続けている池江の姿に、ハッとした。

 せっかくの人生。不安要素ばかりに目を向けても実りはない。無理をしたっていいじゃないか。無理なら無理でもいいのだから。

 記者がそう気付かされたように、どんな未来が待っていたとしても、池江の人生はきっと誰かの希望になるだろう。だからまず、この復活に「ありがとう」と伝えたい。(デイリースポーツ競泳担当・國島紗希)

関連ニュース

編集者のオススメ記事

スポーツ最新ニュース

もっとみる

    主要ニュース

    ランキング(スポーツ)

    話題の写真ランキング

    写真

    リアルタイムランキング

    注目トピックス