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東京五輪、代表再選考する?しない? 内定選手に法的保護の可能性も

 新型コロナウイルスの世界的な感染拡大により、1年間の延期が決まった東京五輪・パラリンピック。各競技団体は2020年7月24日開幕を前提に、選手選考を進めてきた。すでに内定を出している競技団体もあり、混乱が生じている。現在の内定選手を信じてそのまま代表に選ぶのか、それとも来夏にベストの選手を選ぶのか。結果を求められる自国開催の祭典を前に、難しい対応を迫られている。

 一度手にした夢切符は、どうなるのか。出場枠については、国際競技連盟(IF)によって選手個人に付与しているものと、国に付与しているものがあり、多くの場合は国枠に対して各国内競技連盟(NF)が選考基準を定めて代表を選出している。IOCのバッハ会長は「すでに代表に決定している選手は自動的に出場資格を得られる」と声明を出した一方で、IOCとの会議に出席したJOCの山下会長は「保護されるのは(出場)枠の話だと思う。NF(国内競技連盟)の選考には口を出さないのでは」と見方を示している。

 日本では五輪で104人、パラリンピックで46人がすでに代表に内定している。延期決定を受けて、五輪では卓球、陸上のマラソン・競歩、空手、セーリング、ボクシングなどがすぐに、再選考を行わず内定を維持する方針を示した。一方で14階級すべて開催国枠の柔道、IFの判断を待つレスリングなどは態度を保留している。金メダルが至上命題とされる競技ほど悩みは深い。

 延期でネックとなるのは、1年後、現在の内定者が“ベストの選手”であるとは限らないことだ。1年あれば、競技の力関係は大きく変わる。延期でモチベーションや調整に苦労する選手、急激に力をつけてくる選手もいる中で、1年先を見通すことは困難。難しい判断を強いられることになる。

 競技の未来を考えれば、可能性が少しでも高い選手を、という思いは理解できる。東京五輪での結果は普及の面はもちろん、競技団体の運営面でも今後を左右することになる。

 東京五輪という国を挙げた祭典の後、スポーツ関連の予算は大きく減らされる可能性が高い。選手強化にあてられる国からの予算は東京招致が決まった14年度の48億円から徐々に増え続け、19、20年度と100億円を超えたが、21年以降は減額される見通し。リーマンショックと東日本大震災を超えるとされる新型コロナウイルスによる経済へのダメージも深刻。景気の停滞が予想される中、東京五輪後は大幅な減額は避けられない。限られた予算の中で強化重点競技となれるかどうかは、各団体のポスト2021の鍵を握ることになる。

 ただ、再選考には多くの課題がある。延期となったが、名称は「TOKYO 2020」となったため、20年大会に向けて内定した選手は法的に保護されるという見方もある。弁護士でもある競技団体関係者は「名称が変わらない以上は、あくまで延期。すでに決まっている選手は替えられないのでは」と分析する。再選考を行った場合、権利を剥奪された選手が「スポーツ仲裁裁判所」(CAS)に訴えるケースも出てくる可能性も高い。

 内定選手をそのまま代表にすることを決めた競技でも、今後、金メダルを狙えるような成績、記録を出す選手が出現した場合、早期の決断が議論を呼ぶことも考えられる。

 五輪史上初となる延期。見通せない1年という時間が、関係者を惑わせている。

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