聖火リレーがスタート 第2走者・野口みずきさん「五輪のふるさとに戻ってきた感じ」

 東京五輪の採火式が12日、古代五輪の舞台だったギリシャ西部のオリンピア遺跡で行われた。世界保健機関(WHO)が新型コロナウイルスの感染拡大を「パンデミック(世界的大流行)」と表明したことで五輪開催への懸念が一気に高まる中、2004年アテネ五輪女子マラソン金メダルの野口みずきさん(41)が第2走者を務め、ギリシャ国内の聖火リレーがスタートした。聖火は20日に空路で宮城県に到着し、26日の福島県出発から7月24日の開幕まで121日間で47都道府県を回る。

 厳粛な空気が流れる中、みこ役の女性が反射鏡で太陽光を集め、トーチに火をともす。古代五輪の舞台となったオリンピアの地で、オレンジ色の炎が厳かに燃え上がった。東京五輪の開幕まで残り134日。新型コロナウイルスの感染拡大で開催を危ぶむ声が日に日に高まる中で、祭典の到来を告げる聖火リレーが始まった。

 第1走者には、射撃の16年リオデジャネイロ五輪覇者で地元ギリシャのアナ・コラカキ(23)が史上初めて女性で起用された。続く第2走者はアテネ五輪女子マラソンで金メダルに輝いた野口さん。近代五輪の父と呼ばれるクーベルタン男爵の記念碑近くで「トーチキス」をかわして聖火を受け継ぐと、雲一つない青空の下、思い出の地をゆっくりと駆けだした。

 2016年の現役引退後、41歳になった今も月に約200キロを走っている。今回巡ってきた大役は五輪よりも「緊張した」という。右手で掲げたのは、桜をモチーフに日本らしさを表現したトーチ。日本人最初の聖火ランナーという名誉に身が引き締まった。五輪開催時は国々が争い事をやめたという古代ギリシャの故事に思いをはせ、「すごく深いものを感じたという」という。

 古代五輪の競技場を眼下に眺める約200メートルを走り切った。「五輪のふるさとに戻ってきたような感じ。この空気を感じながら、一生忘れないぞと思いながら走った」。大役を終えると、澄み切った笑顔を浮かべ、あふれる思いを言葉にした。

 聖火がともり、大会は本格的なカウントダウンに突入した。パンデミックという難局を乗り越え、7月24日の開幕を迎えられるのか。「こんな晴れやかな感じで、ぜひ迎えられたら。無事開催されることを祈っている」。東京五輪を待ち望むアスリート、世界中のファンの思いを代弁するように野口は言った。

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