宗猛氏 マラソン男子代表、今一番いい3人 それでもアフリカ勢との差は歴然

 東京五輪男女マラソン代表の選考会が終わり、男子は中村匠吾(27)=富士通、服部勇馬(26)=トヨタ自動車、大迫傑(28)=ナイキ。女子は前田穂南(23)=天満屋、鈴木亜由子(28)=日本郵政グループ、一山麻緒(22)=ワコール=の日本代表6人が出そろった。男子は8月9日、女子は同8日(ともに午前7時スタート)に札幌大通公園発着コースで行われる。男子は宗猛氏に期待やポイントなどを聞いた。

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 中村選手、服部選手、大迫選手と、今一番いい3人がそろったと思います。中村選手、服部選手は冷静なレースをします。大迫選手は持ちタイムから見ても一番力がありますし、面白いメンバーと言えるでしょう。

 中村選手は駒大時代に指導を仰いだ大八木監督に練習を見てもらいながらも、一辺倒というわけにもいかないと考え、その都度、富士通の合宿にも参加したりしています。強弱を使い分けているし、意識してやっていることがプラスに働いています。周りも、本人がやりやすいような環境を作っています。

 服部選手は一昨年12月の福岡国際の優勝から、2位になった昨年9月のMGCまで期間が空きました。佐藤監督に「大丈夫?」と尋ねたのですが、「あいつは大丈夫。こうして集中させた方が走る」と言っていました。そのMGCから11カ月、東京五輪もきちんと準備して仕上げてくる感じがしています。

 大迫選手はレースの流れを読み切る力があります。そして力を出し切る能力もあります。新しいことはせず、自己ベストを出したときと同じような流れの練習を行い、同じ状態でスタートラインに立つことが大切です。新しいことをやるとリスクは高くなり、失敗するケースも多くなります。

 日本勢の順位については、1人でも8位に入賞できれば御の字ではないでしょうか。世界中で行われている大きな大会で優勝している人たちがやってくるわけですから。アフリカ勢との差は歴然としています。東京で日本記録を出して4位になった大迫選手も、優勝者とのタイム差は1分14秒ありましたし、なかなか厳しい戦いになるでしょう。

 私が出場した1984年ロサンゼルス大会は、日本は金・銀・銅の独占もあり得る感じでした。私は何が何でも表彰台を、と思って走りました。日本男子マラソン界が置かれている状況は当時とは異なりますし、メダルを-というあのときの状況に例えるなら、8位入賞を頭に入れることです。

 かといって、五輪における特別な戦い方はありません。かかるプレッシャーの度合いが高いだけで、普通のレースと同じです。普段と同じイメージで臨めばいいのです。

 今回のコースは周回のためカーブが多くなります。曲がる際にほかの選手との接触に気をつけなくてはなりませんが、選手にとって問題はないでしょう。43・6メートルという高低差についても、普段の合宿のコースなどと比べて遜色ないものとみています。(1984年ロサンゼルス五輪4位入賞、旭化成陸上部総監督・宗猛氏)

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