柔道 リネール撃破の影浦は落選 井上監督は評価も「安定感で原沢を選んだ」

 全日本柔道連盟は27日、東京五輪代表を選考する強化委員会を都内で開催し、男女12階級で代表を決定した。男子100キロ超級は、今月のグランドスラム(GS)パリ大会で、10年間無敗だった五輪2連覇のテディ・リネール(フランス)から金星を奪った影浦心(日本中央競馬会)は落選し、昨年世界選手権銀メダル、ワールドマスターズ優勝と実績を積んでいた原沢久喜(百五銀行)が選出された。

 日本男子の井上康生監督は「10年間、世界中の選手ができなかった快挙を成し遂げたことは大きな評価をした」と話す一方で、影浦が1年間優勝から遠ざかっていたことも指摘。この階級には18年世界王者のトゥシシビリ(ジョージア)、19年世界王者のクルパレク(チェコ)という強敵もおり、原沢はそれぞれに勝利している。

 「1年間の成績を見る中で、我々は東京五輪で金メダルを獲るにはどうしたらいいかという目線で見た。(相手はリネール)1人だけではなく、取りこぼしをしてはいけない。安定感で原沢を選んだ。(五輪での)勝機を計算した上でこのような選考をした」と説明した。

 ただ、井上監督は会見中、惜しくも落選した選手のことを思い、男泣きする一幕もあった。「今浮かぶ顔は、やはりギリギリで落ちた選手の顔。60キロ級の永山(竜樹)、73キロ級の橋本(壮市)もそう、海老沼(匡)…。81キロ級の藤原(崇太郎)。90キロ級の長沢(憲大)や村尾(三四郎)、100キロ級の飯田(健太郎)、羽賀(龍之介)、100キロ超級の影浦。本当に彼らはすべてを懸けてここまで戦ってくれたんじゃないかなと思う。彼らの思いもしっかり持った上で、日本代表として世界で戦う気持ちしか正直ありません」と、五輪本番へ決意を込めた。

 ◆男子

 ▽60キロ級…高藤 直寿(26、パーク24)=2大会連続2回目

 ▽73キロ級…大野 将平(28、旭化成)=2大会連続2回目

 ▽81キロ級…永瀬 貴規(26、旭化成)=2大会連続2回目

 ▽90キロ級…向 翔一郎(24、ALSOK)=初出場

 ▽100キロ級…ウルフ・アロン(24、了徳寺大職)=初出場

 ▽100キロ超級…原沢 久喜(27、百五銀行)=2大会連続2回目

 ◆女子

 ▽48キロ級…渡名喜 風南(24、パーク24)=初出場

 ▽52キロ級…阿部 詩(19、日体大)=初出場

 ▽57キロ級…芳田 司(24、コマツ)=初出場

 ▽63キロ級…田代 未来(25、コマツ)=2大会連続2回目

 ▽70キロ級…新井 千鶴(26、三井住友海上)=初出場

 ▽78キロ級…浜田 尚里(29、自衛隊)=初出場

 ▽78キロ超級…※素根 輝(19、環太平洋大)=初出場

 ※昨年11月に決定

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