“運命の子”照強 無傷5連勝で1・17へ!阪神・淡路大震災の日に淡路島で産声

 「大相撲初場所・5日目」(16日、両国国技館)

 阪神・淡路大震災から25年の時が流れた。1995年1月17日、震源地に近い淡路島で生まれた幕内照強(伊勢ケ浜)が千代丸(九重)を豪快な下手投げで転がし、無傷5連勝と快進撃。トップタイを守って25歳となる17日、誕生日に初めて幕内の土俵に立つ。小さな体に日本を“強く照らす”運命を背負った力士。被災地の故郷の期待を胸に初優勝へ全身全霊を尽くす。

 身長169センチ、体重120キロの照強が全身にめいっぱい力を込めた。千代丸のもろ手突きをかいくぐりもろ差し。土俵際、体を開いて身長で9センチ、体重で74キロも上回る巨漢を豪快に投げつけた。

 「(千代丸の)あの腹に乗っかからないように。圧力をかけて来たから思い切りやるしかない。小さいので何でも思い切りやるしかない。何でも中途半端にやると(相手は)食わない」。気持ちで絶対負けないのが小兵の身上だ。

 「17日まで連勝でいければいい」と宣言してきた。1・17阪神・淡路大震災から節目の25年。自身の25歳の誕生日を無傷5連勝、トップタイで迎えることになった。「気持ちはいい。波に乗っていける。後半も尻上がりになれば」とうなずいた。

 1・17はやはり宿命。3年前の新十両も初場所だった。幕内で1・17は目標としてきた。「幕内で迎えるのは初めて。25年ということでうれしさはある」とかみしめた。

 誕生日は小さい頃から家族は普通に祝ってくれた。ただ、テレビをつければ、震災のニュースが途切れることはない。「うれしいことだけじゃ過ごせない誕生日だったのは確か」と当時を振り返る。

 自身を産んだ時のことを母に何度も聞いた。中学2年の時、亡くなった大好きな祖父、龍夫さん(享年56)の「関取になれよ」との言葉が進路を決めた。中学卒業後、相撲の世界に入った。土俵で活躍し被災地を“強く照らす”使命を背負い、番付を上がった。17日、震災発生の午前5時46分に毎年、起きて黙とうを捧げている。

 故郷、淡路島で生まれ育ったことは誇り。場所後には必ず帰郷し、英気を養っている。実家の1階が淡路名産のたまねぎの作業場でいくらでも食べられる。「淡路のたまねぎは甘い」と絶賛。独自料理のオニオンスープがパワーの源だ。

 幕下の頃から照強の出番近くになると実家周辺の田畑から人が消えたという。ずっと故郷の人はテレビ前で勝利をひたすら願う。

 トップは正代、輝と平幕3人。大混戦の初場所、“運命”が後押し、照強に初優勝のチャンスは十分ある。

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