バドミントン桃田賢斗、遠回りしてたどり着いた夢舞台

 2020年7月、56年ぶりの自国開催となる夏季五輪が首都・東京で幕を開ける。日本選手団は金メダルの目標数を1964年東京五輪、2004年アテネ五輪の16個を上回る史上最多の「30個」に設定。柔道、バドミントン、卓球、競泳など近年の国際大会で功績を残している競技に加え、サーフィン、スケートボードなど今大会から採用された新競技にも大きな期待が集まっている。東京五輪の「主役」となるであろう選手たちを特集する。

 その強さはもはや疑いようがない。バドミントン男子シングルスの世界ランク1位、桃田賢斗(25)=NTT東日本=は、今季はツアーファイナルズも含め史上最多となるV11を達成。勝率は9割を超えた。世界選手権も2連覇中。4月まで五輪レースが続く中、異例の速さで当確ランプをともした。有無を言わさぬ堂々の金メダル最有力候補として東京の舞台に立つことになる。

 ただ、本人が先を見据えることはない。「先は見ずに毎試合、応援してくれるファンの方々を勇気づけられる試合をできるようにしたい。初心を忘れないように」。それは自らへの戒めでもある。

 4年前のリオデジャネイロ五輪。今季と同じく前年のツアーファイナルズを制し、世界ランク2位で出場権獲得が確実だった桃田は、自らの愚行でその道を閉ざしてしまった。日本代表から除外され、無期限の試合出場停止処分を受け、1年間表舞台から遠ざかった。その後は会社員として社業をこなしながら、ボランティア活動やバドミントン教室など地道に信頼を取り戻し、復帰。すべてを一から出直し、再び夢舞台に出場できるところまでたどり着いた。

 まだ完全に信頼を取り戻せたとは思ってない。だから、自然と視線は足元を見つめる。「リー・チョンウェイ(マレーシア)みたいな“レジェンド”にはまだまだほど遠い。プレーもそうだけど、立ち居振る舞いもそう。まだまだ成長していきたい」。遠回りしてたどり着いた夢舞台で、アスリートとして、そして1人の人間としての成長を示す。

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