貴景勝、挑む快挙星 史上初大関返り咲きとV同時達成へ千秋楽決戦

 「大相撲秋場所・14日目」(21日、両国国技館)

 2桁星を挙げ来場所の大関復帰を決めている関脇貴景勝が平幕竜電を突き押し3発で一蹴し、11勝目(3敗)を挙げ首位タイを死守した。史上初の大関返り咲きとVの同時達成を千秋楽にかける。関脇御嶽海が大関豪栄道を突き落とし、平幕隠岐の海は遠藤を寄り切って3人が3敗でトップ並走。千秋楽は貴景勝対隠岐の海の直接対決、御嶽海対小結遠藤が組まれた。本割で御嶽海が勝てば貴景勝対隠岐の海の勝者と優勝決定戦。御嶽海が負ければ貴景勝対隠岐の海の勝者が優勝となる。かど番の大関栃ノ心は妙義龍に寄り切られて負け越し、2度目の関脇転落が決まった。

 前日の完敗にも優勝争いの緊迫感にも貴景勝の心はみじんもぶれない。弾丸のような踏み込み。押し上げて竜電を起こすと、破壊力満点の突き押し3発の電車道。3秒0で土俵外に押し出した。

 3敗トップを死守して、いざ千秋楽決戦へ豪快に弾み。「毎日考えているようにできた。昨日は負けたけど全力を出し切って負けた。実力が弱いから負けただけ。気にすることじゃない。勝ち負けは別にしていつも通りのことをして臨めた。しっかりと攻められた」。コメントにも心身の充実感があふれた。

 右膝負傷で大関をわずか2場所で陥落する屈辱を味わった。リハビリ期間はすべてを相撲のために尽くし復活。12日目、2桁星に到達し史上最速での大関返り咲きを決めた。「その目標に向かって番付発表前から考えてやった」。最大の目標をクリアしても緩まないのが23歳のすごさだ。

 1場所で大関復帰は6人7例目だが、11勝は05年初場所の栃東に並び最多。過去5人は優勝争いに絡めなかったが、貴景勝は10日目以降も優勝争いのトップを走り続ける。「自分の持ってるものは100出した。100出せれば悔いはない」。勝敗に関係なく常に100パーセントで戦う信条を14日間、貫いてきた。

 大関復帰を決めても「まだ場所はあるから」と特にお祝いもしなかった。自宅で自炊し鶏のムネ肉に片栗粉をまぶしポン酢で食べる。ストイックに自身を追い込み、V2への好機をたぐり寄せた。

 「14日間の積み重ね。あすもこの14日間の通りにやる」。運命の千秋楽、まずは本割、必勝出陣だ。

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