朝乃山生涯忘れない栃ノ心との一番「おめでとう」と声をかけられ「すみません」

 平幕朝乃山(25)=高砂=が令和初の場所で初優勝した。大関豪栄道を寄り切って撃破し12勝目(2敗)。結びで1差の横綱鶴竜が関脇栃ノ心に敗れたため千秋楽を待たず、富山県出身では1916年夏場所の横綱太刀山以来、103年ぶり優勝が決まった。三役経験なしの平幕Vは61年夏場所の佐田の山以来58年ぶり。初土俵から所要20場所は史上8番目の速さ(付け出しを含む)で、新入幕から所要11場所は年6場所制となった1958年以降、8位のスピードとなった。新時代「令和」に誕生した新スターは千秋楽、トランプ米大統領から優勝トロフィーを授与される。

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 いつも無邪気な笑顔を振りまく朝乃山が初優勝にも喜びを見せなかった。13日目、栃ノ心戦、微妙な判定での勝利がずっと胸に引っかかっていたからだ。

 前日、部屋に戻って何度も映像で取組を確認し、携帯でエゴサーチ(自分の名前検索)。自身への“批判”めいた声もチラホラあった。栃ノ心が号泣した記事も読み、「モヤモヤした」とため息。この日の朝稽古後、「相撲人生これで変わった。場所入りで『負けてたぞ』とか言われるのかな…」と落ち込んだ。

 優勝インタビューの後、栃ノ心とすれ違った。「おめでとう」と声をかけられ、「昨日の相撲はすいません」と心の中で謝罪した。「これは一生残る」と朝乃山にとって初優勝とともに生涯忘れない。一番の重み、勝負の非情さを身を持って知った。そのことは25歳がさらに飛躍する上でかけがえのない血肉になる。(デイリースポーツ・荒木司)

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