栃ノ心、大関復帰が確実 立ち合い変化で鶴竜破り執念の10勝目

 鶴竜(右)をはたき込みで破る栃ノ心
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 「大相撲夏場所・14日目」(25日、両国国技館)

 栃ノ心は10勝目を挙げ、7月の名古屋場所での大関復帰を決めた。関脇に転落した場所で返り咲きを決めるには10勝が条件。この規定での復帰決定は現行制度となった1969年名古屋場所以降、2005年初場所の栃東以来5人目(6度目)となった。

 あっけない幕切れだった。栃ノ心は立ち合い左に飛んでのはたき込み。鶴竜が土俵に横転するのを見届けると、大きく肩で息をした。遠かった10勝目を秒殺でつかみ取り「勝ててよかった。(鶴竜に)悪いことしたね」と満面に笑みをたたえて振り返った。

 立ち合いでの変化は土俵に上がった時点では頭になかったという。「最初は考えていなかったけど、ちょっと迷いはあった。最後の仕切りの時にそう(変化しようと)思った」と自分の気持ちの動きをたどった。

 9勝目を挙げた10日目の打ち出し後に、古傷の右膝から水を抜いてもらう処置を受けた。「そうしたら力が入らなくなった。踏み込みで左を出した後、右が出ない」。翌日から自分の立ち合いができずに3連敗。前日の朝乃山戦は物言いの末に行司軍配差し違えでの悔しい黒星だった。

 この朝、師匠の春日野親方(元関脇栃乃和歌)からは「あと2日頑張れ」とゲキ。前夜は故郷ジョージアから激励の電話がひっきりなしにかかってきた。周囲の期待にも結果で応え、来場所番付では晴れて大関に返り咲く。

 「うれしいね。もうちょっと勝てる大関になりたい。もう一つ上の番付?とりあえず大関で頑張ります」。一度陥落したからこそ分かる大関の重さ。もう二度と手放さない。

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