貴親方の乱惨敗 失墜2票で落選 浮動票獲得ならず“親戚票”のみか

 日本相撲協会は2日、東京・両国国技館で1期2年の任期満了に伴う役員候補選挙を行い、5期連続の理事を目指した貴乃花親方(45)=元横綱=はわずか2票で落選した。貴乃花一門で擁立した阿武松親方(56)=元関脇益荒雄=に一門のほとんどの票を譲ったため予想通りの玉砕。春場所(3月11日初日、エディオンアリーナ大阪)後の役職変更で役員待遇から委員への降格となり、理事会メンバーからも外れる。

 前夜から雪が降り、冷え込む国技館。午後3時、約1時間の選挙戦で無残に散った貴乃花親方は険しい顔で現れた。報道陣に囲まれ、何を聞かれても無言。前を見据え、悠々と歩き迎えの車に乗った。貴乃花部屋の前では親方の出入り時に警察官が出動。ぴりぴりとしたムードが漂った。

 獲得はたった2票。自らの1票以外は長男・花田優一の義父となる陣幕親方(元前頭富士乃真)=高砂一門=の“親戚票”のみとみられる。一門の基礎票は無所属の錣山親方(元関脇寺尾)ら3人を含めても11票。一門から初めて複数出馬したが、事実上、投票は阿武松親方に一本化していた。

 “パンチパーマ風”に気合の入った髪型。丸刈りにして臨んだ16年の理事長選時と同様“髪頼み”の出陣も届かなかった。

 1日、立候補を届け出た後、異例となる一門の会合を開き結束を固め、情勢分析。さらに部屋の公式サイトを更新し「大相撲とは誰のものか?その公益性の意味を我々は考え直し、正す時期に来ているのではないか」と協会批判とも取れる声明で決意表明。最後まで他一門の切り崩し、浮動票の獲得を模索したが、神風は吹かなかった。

 3カ月に及ぶ執行部との“闘争”も屈辱の結果に終わった。昨年11月、弟子の貴ノ岩(27)が秋巡業中に元横綱日馬富士(33)に暴行され負傷した事が発覚。巡業部長として事件の報告を協会側に怠ったことなどを問われ協会と対立。年明けに理事から2階級降格の懲戒処分を受けた。

 理事候補選に落選したことでさらなる降格は避けられず、春場所後に現在の役員待遇から委員となる。月給は126万9000円から103万2000円と23万7000円減。昨年まで協会の序列No.3だった「平成の大横綱」が無役の審判委員、木戸番と呼ばれる入場券チェックなど“雑務”にあたる可能性もある。14年に理事選に落選した先代九重親方(元横綱千代の富士)は監察委員に降格した。

 協会の中枢、理事会のメンバーから8年ぶりに外れた。悲願の理事長の座ははるかに遠のいた。一門から阿武松親方を理事に送り込んだが、総帥の失墜により求心力低下は必至。勢力を拡大し20年に返り咲けるのか-。平成の大横綱には試練の2年となる。

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