貴親方に待ち受けるいばらの道 10年ぶり「委員」に降格 “左遷”も…

 日本相撲協会の役員候補選挙が2日、東京・両国国技館で投票により行われ、定員3人を4人で争った副理事候補は、初出馬の錣山親方(55)=元関脇寺尾=が14票で落選した。昨年12月に時津風一門を離脱し、貴乃花一門の会合に出席していた同親方。“貴乃花一門”は理事候補、副理事候補ともに落選の憂き目に遭った。また“兄弟対決”として注目を集めた錣山親方の実兄、井筒親方(元関脇逆鉾)は最多の31票で当選した。

 協会と対立姿勢を鮮明にした貴乃花親方だが、賛同を得ることはできなかった。現役時代は誠実な土俵態度と抜群の実績で空前の大相撲ブームを巻き起こした大スター。親方衆の支持を失い、相撲協会トップの座はさらに遠のいてしまった。

 1月4日に理事を解任されたばかりだけに立候補は自重すべきだというのが、自身を除く貴乃花一門の総意だった。強行出馬に固執する貴乃花親方を「落選すれば将来に傷がつく。ここは我慢を」と一門は慰留したが、全く通じなかった。

 早くから将来の理事長候補と期待されたが、2年前に挫折を経験。恩師と慕う北の湖理事長(元横綱)の急逝を受け、八角親方との後継者争いに挑んだが、結果は完敗だった。

 ある理事は以前から貴乃花親方について「普通にしていれば、いずれ普通に理事長になれる人材なのに」と指摘してきた。だが、あまりに真っすぐな性格が災いしてか、元日馬富士の暴行問題では協会執行部と衝突。最近の理事会では孤立状態だったとされる。

 落選覚悟の強行出馬とはいえ、敗北は大きな影響を及ぼしそうだ。新たな役職変更で2008年以来の「委員」に下がるとみられる。八角体制への反発もあり、協会運営の中枢とは離れた職務への異動が濃厚だ。

 さらに今後はいばらの道が待ち受ける。かつて協会顧問を務め、不明朗な金銭授受などの背任行為があったとして、協会に訴訟を起こされた人物と貴乃花親方は近いとされている。ある若手親方は「この人間関係に失望した。以前は投票したいと思ったが、その気持ちは消えた」と漏らすなど、求心力は急速に低下している。

 一門離脱から理事解任、今回の落選など波瀾(はらん)万丈の末、貴乃花親方の相撲人生は10年前に逆戻りしてしまった。

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