白鵬、張り手封印星 阿武咲の圧力にヒヤリとする場面も

 「大相撲初場所・初日」(14日、両国国技館)

 元横綱日馬富士の暴行事件に絡んで処分を受け、今場所は無給での出場となった白鵬(32)=宮城野=と鶴竜(32)=井筒=の両横綱はともに白星発進した。今場所で北の湖と並ぶ史上最多の横綱在位63場所に到達した白鵬は、横審から苦言を呈されたかち上げ、張り手を出さずに小結阿武咲(21)=阿武松=を突き落とし。4場所連続休場から進退をかけて土俵に立つ鶴竜は北勝富士(25)=八角=を引き落とした。

 文句なしの取り口だった。頭から当たってきた阿武咲をしっかりと受け止めた白鵬。即座に繰り出した左の小手投げに乗じて前に出てきた相手に押し込まれたが、冷静に土俵際で左に回り込んで突き落とした。

 元横綱日馬富士の暴行問題に絡んで処分を受け、逆風の中で迎えた18年で白星発進。稽古を報道陣に公開せず、取材にも応じないなどピリピリムードだったこの日の朝とは打って変わり、「いいスタートが切れた。上手を取られたけど、すかさず反応したのが良かった」と満足顔だった。

 「横綱相撲らしくない。見苦しい」などと横審から苦言を呈された立ち合いでの張り手、かち上げも繰り出さず。師匠の宮城野親方(元前頭竹葉山)は「いろいろ変えた部分もある。ビデオを撮って見てくれと言ってきたぐらいだから」と、白鵬が立ち合いに試行錯誤していたという。白鵬は、横審の北村委員長が「みなホッとしたと言っていた」と話していたことを聞くと、「私もホッとしましたよ」と、思わず笑みを浮かべた。

 だが、不安材料もある。宮城野親方は、白鵬がこの日の朝には一昨年に手術した右足親指を痛めたことも明かした。白鵬は「何で知ってんの。情報早いね」と苦笑し、病院へ行くかどうかは「分かりません」と話した。

 「自分でやれることをやるだけです。あとはみなさんが決めることじゃないですか」と表情を引き締めた白鵬。まだまだ横綱の真価が問われる戦いが続く。

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