小平奈緒「こんなに悔しい優勝はない」 W杯15連勝も世界新に届かず

 「スピードスケート・W杯」(9日、ソルトレークシティー)

 女子500メートルで小平奈緒(31)=相沢病院=が36秒54で制し、W杯の同種目で昨季から15連勝、国内外では23レース無敗となった。ただ8日に自身がマークした36秒50の日本記録、李相花(韓国)の持つ36秒36の世界記録には届かなかった。1000メートルを含めW杯通算18勝目。女子1500メートルは高木美帆(23)=日体大助手=が1分51秒49の日本新をマークし4連勝。第3戦に続く日本記録更新で、W杯の個人種目では通算7勝となった。

 バックストレートを抜群の速さで通過した小平を見送った結城コーチは「いったと思った」という。女子500メートルの世界記録更新がちらついた。だが、最終カーブで勢いをわずかに失った。「(世界新に)チャレンジしていたので、こんなに悔しい優勝はない」。これまであまり表に出さなかった36秒36への思いを口にし、無念さを隠さなかった。

 100メートルを自己最速の10秒14で通過したが「ハイスピードでカーブをコントロールできなかった」と二つともカーブで不満の残る滑りとなった。公式映像の表示では、第3戦で55キロ台だった最終カーブでの時速がこの日は54キロ台まで落ちた。「500メートルの世界記録の難しさだなと思った」。体験したことのない遠心力を、レースで制御するのは簡単ではない。

 連勝街道をひた走るだけで満足できないのは、前人未到の領域に挑戦できるだけの強さがあるからこそ。高地での500メートル3レースは終わったが、こつこつと速さを磨いてきた女王は「悔しさは内に秘めて次につなげたい」と顔を上げ、結城コーチも「平昌で世界記録だってあり得る。これまで通り、最速を目指して突き詰めていく」。挑戦は終わらない。

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