阿部一二三 ハタチの衝撃世界デビュー 6試合中5試合で一本勝ち「突っ走る」

 「柔道・世界選手権・男子66キロ級決勝」(29日、ブダペスト)

 男子66キロ級のホープ、阿部一二三(20)=日体大=が初出場で世界一に輝いた。全日本柔道連盟によると、阿部は五輪と世界選手権を通じて日本男子で史上3番目の若さでの優勝。6試合中5試合で一本勝ちと圧倒的な強さで頂点まで駆け上がった。

 新時代の天才柔道家が衝撃デビューを果たした。20歳の阿部は世界の強豪を担ぎ上げると、面白いように畳にたたきつけていく。決勝は最も得意とする袖釣り込み腰で圧勝し、技あり三つで優勢勝ちした4回戦を除けば全て一本勝ち。圧倒的な力を見せ、ブダペストの観客を熱狂させた新王者は「この日のためにやってきた。ホッとした気持ちとうれしい気持ちでいっぱい」と胸をなで下ろした。

 早くも「柔道界の申し子」として周囲を魅了する。相手を高々と担いで投げ飛ばす姿は、92年バルセロナ五輪覇者で「平成の三四郎」と称された古賀稔彦をほうふつとさせる。

 生まれながらにして柔らかな筋肉が、担ぐ、刈る、跳ねるといった柔道に必要な動作を高次元で可能にしており、元世界王者の日体大・山本洋祐部長をして「柔道をやるために生まれてきた。10年に1人の逸材」と言わしめ、日本男子の井上康生監督も「古賀さん以来のスーパースター」と表現する。

 今年から試験導入された新ルールにも適合。有効が消え、今まで以上に一本の価値が高まった。攻める姿勢も重視されるが、「観客を楽しませたい気持ちは常にあります」と、勝つだけでなく“魅せる柔道”に人一倍こだわりを持つ阿部にとっては追い風となった。

 衝撃の世界デビューも「一二三時代」の第一歩に過ぎない。これまで以上に追われる立場になるが「どれだけ研究されようと、その上をいき、東京五輪まで突っ走る」。風格すら漂わせる新王者の視線は、すでに次の戦いに向けられた。

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