侍の前に立ちはだかるのは大谷盟友 メキシコ・サンドバル準決勝先発 空振り率高いチェンジアップ&スライダー脅威

 パトリック・サンドバル
 2月のエンゼルスのキャンプで笑顔で話す大谷(左)とサンドバル(共同)
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 「WBC準々決勝、メキシコ代表5-4プエルトリコ代表」(17日、マイアミ)

 メキシコ(1次リーグC組1位)がプエルトリコ(D組2位)に5-4で競り勝って、初の4強進出を決めた。20日(日本時間21日)の準決勝・日本戦に先発するのは、左腕のパトリック・サンドバル投手(26)。エンゼルスでは大谷翔平投手(28)の盟友ともいえる存在だ。成長著しい左腕の実力と性格をデイリースポーツMLB担当の小林信行記者が紹介する。

  ◇  ◇

 敵地オークランドで迎えた昨季最終戦。試合後のサンドバルは自宅には戻らず、大谷とともに北へ飛んだ。シアトルにある野球トレーニング施設「ドライブライン」を訪れることが目的だった。プライベートでは食事に出かけるほど気心が知れた間柄。WBC開幕前に参加したエ軍のキャンプでは二刀流とキャッチボールのコンビを組む盟友。2人の関係の深さが見える。

 メキシコ人の父と米国人の母を持つサンドバルはメキシコの国境に近いカリフォルニア南部のミッションビエホで生まれた。高卒後の15年ドラフト11巡目でアストロズ入団。18年7月、捕手マルドナドとのトレードで少年時代のファンだったエ軍にやってきた。

 通算1382勝、最優秀監督賞3回の知将、ジョー・マドン前監督がほれ込んだ才能。ブレークしたのは昨季だ。自己最多の27試合に登板し、勝ち星こそ伸ばせなかったが、防御率2点台をマークし、奪三振率は9を超えた。

 特筆すべきは2つの変化球。右打者への決め球、チェンジアップの空振り率は驚異の44%を誇り、配球率が最も高かったスライダーは空振り率34%、右打者にも多く投げた。

 変化球が生きるのは制球された直球があってこそ。昨季最速155キロ、平均150キロと決して遅くはないが、被打率は球種別ワーストの・355。進境著しい左腕の弱点が見え隠れする。

 「良い人」を絵に描いたような好青年。その笑顔から人柄の良さがにじみ出ている。登板結果に関係なく、真摯(しんし)に取材に応じる姿勢は他者へのリスペクトに他ならない。

 12日の米国戦は3回1失点で勝ち投手。エ軍の同僚、トラウトをスライダーで空振り三振に斬っている。準々決勝プエルトリコ戦の試合前会見でヒル監督による予告登板が信頼の証しだ。

 メキシコは米国に大勝し、プエルトリコを逆転勝ちで下して勢いに乗っている。「抑える自信はある。後ろの守備を信じて攻めたい」。サンドバルが3度目の大番狂わせの立役者となり、史上初の決勝に導くか。

 ◆日本代表、国際主要大会のメキシコ戦VTR WBC第1回大会では、2次リーグ第2戦で対戦。先発・松坂が5回1安打無失点。打線は四回に里崎が2ラン。九回にはイチローがタイムリーを放つなど6-1で快勝した。

 ただ、日本代表は次戦の韓国戦に敗れ1勝2敗に。翌日にアメリカがメキシコに勝てば日本が敗退となる状況の中、メキシコが勝利した。これで日本、アメリカ、メキシコの3国が1勝2敗で並び、失点率が最も低い日本が2位で準決勝進出。失点率「100分の1」の僅差だった「アナハイムの奇跡」で勢いづき世界一となった。

 他の国際主要大会では、プレミア21の第1回大会で1次ラウンドと3位決定戦、第2回大会の2次ラウンドで対戦しいずれも勝利。東京五輪は1次リーグ2戦目で快勝して1位通過を決めている。

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