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郭泰源監督を悩ませる台湾球界の裏事情

台湾代表・郭泰源監督
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 来年3月のWBCに出場する台湾代表も、今月初旬、1次ロースターと称される『50名の予備登録』をMLB側に送った。ただ日本と同様、マスコミに公表されてはいない。主な理由は、「出られない可能性の高い選手がかなり含まれていて、実質的に意味をなさない名簿」(台湾球界関係者)だからなのだとか。

 原因となっているのは、ラミゴ・モンキーズの“代表ボイコット”によるものだ。現在、台湾プロリーグ(CPBL)は4チームで、そのうちのひとつがラミゴ。近年、チーム力とともに人気もダントツで、スタンドのファンの応援もユニークで個性あるチームだ。千葉ロッテとの交流もあり、日本の野球ファンでも知る存在となっている。ところがそのラミゴの球団幹部が、次期WBCの代表に選手を出さないことを決めた。 

 ただ、代表の郭泰源監督(元西武)としても、ラミゴの主軸を抜きには代表をくめない。とはいえ名簿提出の期限もあった。そこで苦肉の策としてラミゴの選手も含めたロースターを提出。最終期限の2月までになんとか和解し、晴れてラミゴの選手も加えたメンバーで戦いたいと考えたのだ。 

 ではなぜラミゴはボイコットを決めたのか。表面的には監督選考など、つねにアマチュアのトップである中華民国棒球協会(以下、CTBA)が主導権を握り、それにプロ側が追随する、そんな国際大会の進め方にラミゴ幹部が異議を唱えたからだ。実際、今回の代表も、プロ側は郭泰源監督以外の候補も出していたが、アマ側が押し切った。そうした強引なやり方に、ラミゴは抵抗したと言われている。ちなみに他の統一、中信兄弟、富邦(今季までは義大というチームだったが、オフに身売りとなった)は、一応、郭泰源監督での体制で協力する形になっているが、それもアマの棒球協会のバックには、政府があるから。親会社が大規模な3チームとしては、ことを荒立てたくないと考えたという次第だ。

 話がややこしい展開になった。もし付いて来てくれる読者の方がおいでなら、この先もお読みください(苦笑)。

 話は台湾球界の背景に触れなければならない。前述のように彼の地ではプロ野球(CPBL)とCTBAのふたつで成り立ったいるのだが、この関係が昔からよくない。アマとはいえ、CTBAのバックには政府があり、資金も潤沢と言われている。五輪に野球が参加していた頃は、そのためつねにCTBAが主導権を持って監督人事から選手選考まで多くを仕切っていた。それはプロが出来てからも変わりはなかった。

 台湾では90年代後半から2000年以後、八百長問題などありプロ野球からファンが離れ、低迷した時期があった。この頃など、アマの関係者がすすんでMLBとのパイプを利用し、高校、大学を卒業する有望な選手を契約させていた。「国内のプロに入っても、八百長に巻き込まれるなど、ろくなことはない。ならばアメリカに渡り、メジャーに挑戦する方がよっぽどいいではないか」という考えからだった。そしてその傾向は、いまだに変わらない。日本や韓国に比べ、アマからアメリカに直接行って契約する選手が多いのは、そうしたアマ側の思惑もあるためだ。

 しかしプロ側としてはそれでは面白くない。反面、“選手の供給源”であるアマ球界と正面切って対立も出来ない。だから国際大会の時期となると、各団体や幹部たちの思惑が入り交じる。近年は歩み寄り、結果、大同団結で迎えた大会もあったが、グランド外での不協和音は変わらず。

 台湾と言えば、日本でも活躍した選手も多く、野球が盛んな地域。それでいて国際大会でもうひとつ、上位に来ないのには、そんな組織内での問題も大きく起因している。

 そこで今回、ラミゴの幹部は選手を出さないという形での“ボイコット”をぶちあげた。ラミゴは今季、優勝こそ逸したものの、優れた選手が多くプレーしている。その筆頭が、ワン・ポーロン外野手だ。23歳のプロ2年目で、いきなりシーズン200安打をクリアした(台湾は120試合制)。しなやかなバットスイングは、見ればすぐそのセンスを感じさせるだけの魅力を放っている。ちなみに今季の成績は、打率・414、29本、105打点。首位打者は勿論、シーズンMVPにも選ばれた。文字通り、台湾球界のこれからを担う、世界にアピールできる選手だ。しかしそんな選手がWBCに参加できないとは……。

 郭泰源監督は、いまだ参加を諦めていないとしているが、組織同士の対立が発端だけに、どこまで実現するものか。関係者の多くは悲観的な見方が強い。

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