“野球の神様”に愛された近江・山田 両校監督の覚悟にも感服

 11回、力投する近江・山田(撮影・石井剣太郎)
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 「選抜高校野球・準決勝、近江5-2浦和学院」(30日、甲子園球場) 

 延長十一回に近江・大橋選手のサヨナラ3ランで決着がついた準決勝第1試合。近江のエース・山田投手は、五回に左足首に死球を受け、足を引きずりながらも170球を投げて完投しました。

 試合を終えて思ったことは、山田投手が「野球の神様から度を超えた愛され方をしているな」ということでした。

 彼には何度となく大切な場面が巡ってくるんですよね。今大会でも1回戦・長崎日大戦は無死一、二塁から始まるタイブレークに入った延長十三回に、先頭打者で初球を打って左前適時打を放ちました。

 準々決勝・金光大阪戦も初回2死二塁で、遊ゴロを打ってチェンジかと思ったら、相手の悪送球が絡んだ遊撃内野安打となり、先制点が入りました。

 振り返れば、昨秋も野球の神様に愛されたような展開でした。近江は昨秋の滋賀大会は準決勝で敗れています。しかし、近畿大会は滋賀県が開催地だったため、滋賀県勢は優勝と準優勝の2校ではなく、3位まで出場権がありました。

 この事実でも運を感じさせるのですが、山田投手は3位決定戦・立命館守山戦の二回に逆転満塁本塁打を放って近畿大会出場へ導きました。

 なぜ、こんなにも野球の神様に愛されたような活躍を見せるか。自分なりに考えていたのですが、この日の試合にヒントだと感じるシーンがありました。初回2死二塁。山田投手が左翼へ放った浅いフライが、左翼手のダイビングキャッチで好捕されました。

 先制を逃して悔しいだろうなあ、と思って山田投手を見たのですが…。なんと捕球した選手に拍手を送っていました。僕が彼の立場になった時に、相手をたたえる行動ができるかと言えば難しいと思います。

 山田投手は勝負もありますが、もう一つ高いレベルでプレーしているのでしょうね。試合中は足を引きずりながらも笑顔で、仲間にしんどい顔も見せないようにしていました。そういう部分が野球の神様に愛されるゆえんかな、と思いました。

 大阪桐蔭との決勝は、球数制限(1週間で500球)もあって、116球しか投げられません。死球を受けた足のこともあるので、一人で投げ切るのは厳しいかもしれません。

 さらに大阪桐蔭は他校と比較して、明らかに打球音が違うぐらいすごい打線です。でも、投げる機会があれば野球の神様に愛された男として、頑張っていい試合を見せてもらいたいですね。

 近江-浦和学院戦は、監督同士の「覚悟」が見えた試合でもあったと思います。

 近江・多賀監督は山田投手を立てて必勝で臨み、アクシデントがあっても最後まで任せました。足を引きずっている投手を投げさせ続けることに対して、批判を受けることも承知の上だったはずです。かなり悩んだと思いますが、交代させなかったことに「覚悟」を感じました。

 一方の浦和学院・森大監督は最後までエース・宮城投手を登板させませんでした。コンディションを考慮してのことですが、決勝がかかった接戦でもエースを投げさせないところに「覚悟」を感じました。若いのによく我慢できたと思います。

 「勝ったからいい」、「負けたからダメ」とかではなく、どちらのさい配も間違っているとは思いません。多賀監督も森監督もチームを引っ張るという「覚悟」を示したことが、素晴らしい試合を生んだと思います。

  ◇  ◇

 かみじょうたけし(本名・上条剛志)1977年12月31日生まれ。兵庫県淡路島出身。龍谷大卒。血液型A型。身長170cm、体重50kg。高校野球大好き芸人として知られる。趣味・特技は競輪予想、モノマネ。

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