広島・佐藤啓介 代打でプロ初本塁打から6年ぶり6点差大逆転勝利 猛ダッシュ一周の火付け役「球場に来て声援を送ってくださるとうれしいです」

5回、ソロを放つ代打佐藤啓(撮影・北村雅宏)
プロ初本塁打を放った記念のボールを手に、ポーズをとる佐藤啓(中央)と大盛
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 「広島8-7DeNA」(25日、マツダスタジアム)

 広島が最大6点差をひっくり返す大逆転勝利を収めた。6点を追う五回に佐藤啓介内野手(25)が代打でプロ初本塁打をマーク。この一発から打線がつながり、この回打者13人で計7安打8得点の猛攻で逆転に成功した。新井貴浩監督(49)は打線のつながりを絶賛。劇的勝利で3位・DeNAに2・5ゲーム差に接近。Aクラス入りが見えてきた。

 若鯉のフルスイングが本拠地の空気を一変させた。弾丸ライナーが右翼ポール際に突き刺さると、佐藤啓は、スピードを緩めることなくダッシュでダイヤモンドを一周。「入る確信がなかったので…。スピードに乗ってました」。迷いのないスイングが大逆転の幕開けとなった。

 床田が五回までに6失点。劣勢ムードの中で迎えた五回先頭の場面で代打起用された。「思い切っていこう」と1ボールから深沢の直球を捉えると、打球は右翼席の最前列に着弾。この一発が赤ヘル打線に火を付けた。

 その後、打線がつながり、この回2打席目の佐藤啓の投ゴロの間についに同点。最後は大盛の適時内野安打で逆転に成功した。打者13人で計7安打8得点のビックイニング。新井監督は「みんなでつないでつないで、本当に良い攻撃だった」と頰を緩ませた。

 佐藤啓は自身について「野球センスがあると思ったことは一度もない」と言い切る。中京大中京では、1桁の背番号を背負った経験はなし。3年の夏もレギュラーではなかったが、大会直前の練習試合で代打本塁打を放ち、逆転でスタメン入り。チームは準決勝で敗れるも、打率・600、2本塁打と打ちまくって高校野球生活を終えた。

 引退後は一転して受験モードに。野球を続ける条件に国公立大学への進学を掲げ、朝8時の始業前に登校して自習。放課後は毎日塾に通い、午後10時ごろまで机に向かった。結果的に国立大の静岡大に進学。私大に比べ決して恵まれた練習環境ではなかったが、大学4年間で身長が約7センチ伸び、体重も15キロ以上増加。地方リーグのため、スカウトが足を運ぶ機会も少ない中、結果を残し続け、プロ入りへの扉をこじ開けた。この日は早朝6時30分にマツダを出発し、10時30分開始の2軍戦にフル出場。「1軍に生き残ろうという気持ちだったので一本出てよかった」と笑みを浮かべた。

 チームは20年7月26日・DeNA戦以来、6年ぶりとなる6点差以上の逆転勝利。最下位ながら3位・DeNAに2・5ゲーム差に接近した。本拠地では初のお立ち台に上がった佐藤啓は、「Aクラス入りに向けて大事な1週間になる。球場に来て声援を送ってくださるとうれしいです」と鯉党に呼びかけると、大歓声を浴びた。育成からはい上がった苦労人が、勝負のシーズン終盤で輝きを放つ。

 ◇佐藤 啓介(さとう・けいすけ)2001年5月24日生まれ、25歳。愛知県出身。182センチ、93キロ。右投げ左打ち。内野手。中京大中京、静岡大を経て23年度育成ドラフト2位で広島入団。24年6月に支配下登録。プロ初出場初スタメンは24年6月9日・ロッテ戦(マツダ)で「8番・一塁」。

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