広島・37歳秋山 来季再上昇誓う 若手積極起用のチーム方針も「『やっぱりやるなぁ』がもう一回ある年にしたい」
広島の秋山翔吾外野手(37)が21日、大野練習場で自主練習を行い、来季への思いを語った。若手の積極起用を推し進めるチーム方針の中で、来年から会沢と並んでチーム最年長となる見込みの背番号9。首脳陣に「使いたいというよりも使った方が良いと思わせること」を念頭に、今オフは課題が露呈した守備面を見つめ直す姿勢をにじませた。
冷たい秋風が吹き抜ける。BGMはボールがバットではじき返される音のみだった。秋山は屋内練習場で1人黙々と約30分にわたって打撃マシンと向き合った。その後はリラックスした表情も見せながら「苦しいシーズン」と表現した今季を振り返りつつ、「『やっぱりやるなぁ』がもう一回ある年にしたい」と再上昇を期す来季を見据えた。
今季は開幕3戦目で「右足関節外側靱帯(じんたい)損傷」のケガを負い、約1カ月半の戦線離脱があった。1軍復帰後も思うような結果は出ず、スタメン出場は昨季の134試合から今季は29試合に減少。64試合の出場で打率・262、1本塁打、5打点でシーズンを終えた。
元々、レギュラー選手としてシーズンの流れを読み、試合の流れを生かしながら結果を出してきた。今季はスタメン出場が減ったことで、その流れが失われた。その影響が顕著に出たのが守備面だった。両翼の守備で失点に直結する失策があり、敗戦した試合もあった。「試合に出続ける両翼の守備力ではなかった」と言い訳はない。「来年は打つとかより、守れないと出られないなっていう感じですね」と危機感をにじませる。
今オフも三拍子そろった外野手として、走攻守を探究していく姿勢に変わりはなく、この日も打撃練習で汗をかいた。だが、課題が露呈した守備面に関してはさらに力を入れる覚悟だ。「球を追うまでのスキル、手札のイメージ力をつくっておかないといけないなと。もうちょっと研究が要る」と思い描く。
この1年で立ち位置は変わってしまった。来季は競争段階で「ふるいの対象に入ってきている可能性がある」と自覚する。春季キャンプでは、今年は免除されていたシート打撃や紅白戦でのアピールが求められるかもしれない。だからこそ、「どうなっても対応できるように。それで最終的に『使った方がいいかな』と思わせることじゃないですか?『使いたい』というのは若い子たちに向けて出てくる言葉だと思う」と力を込める。
今季、ベンチを温める日々が続いた中で秋山は感じたことがある。「こんな成績でも応援してくれる人がいるんだなと」。頑張る理由は存分にある。己を見つめ直しながら、チームの変革期という荒波に立ち向かう準備を進めていく。





