衝撃だった“推し”の松山選手退団 忘れられない“16秒の沈黙”新井監督 カープ女子のうえむらちか今季を振り返る

 新井政権3年目の広島は今年も苦しい戦いをしいられ、2年連続のBクラスとなる5位に沈んだ。小園の2冠獲得、中村奨の活躍など明るいニュースがあった一方で、松山と田中が退団、上本も引退と寂しいニュースも相次いだ。今季もマツダだけでなくビジター球場にも足を運び、広島の戦いを見続けてきた、カープ女子タレントのうえむらちかが今シーズンを振り返り、“推し”だった松山や“16秒の沈黙”新井監督へのあふれる思いをつづった。

  ◇  ◇

 昨シーズンの地獄の9月が印象深いですが、昨年は本当に投手陣がよく頑張ってくれました。

 今シーズンは、昨年の開幕投手・九里投手がオリックスに行くなど、戦力ダウンもありましたが、床田、森下、大瀬良投手の3本柱に加え、森、玉村、常廣投手といった期待の若手や、新外国人のドミンゲスが加わり、投手陣の安定感でいえば12球団でもトップクラスだと思っていました。

 しかし結果は、床田投手9勝12敗、大瀬良投手7勝9敗、森下投手6勝14敗、九里投手の抜けた穴を埋めることができなかったと同時に3本柱で負け越し13と、悲しい結果に。先発が頑張っても打線の援護がなく(特に大竹投手など特定のピッチャーがめちゃくちゃ苦手)、さらにはリリーフ陣もなかなか安定せず、勝ちきれない試合が続き、結果、去年よりも2カ月早く大失速がやってきました。

 先発が序盤から崩れる展開が多く、まさにファンとしては昨年9月のデジャヴを見ているような感覚でした。

 しかし、そんな中でも、野村コーチの助言により、高投手が先発で、育成の辻投手が支配下登録されて中継ぎで1軍で活躍するようになるなど、来季に向けて光も見えてきました。辻投手、岡本投手は6日から始まったフェニックスリーグでも先発しており、こちらも注目しています!

 そして、今シーズン固定できない打順と共に、なかなか波に乗れない打線でしたが、その中でも小園選手、中村奨成選手の活躍は本当に頼もしかったです。

 小園選手は首位打者のタイトルを獲って、若手ではなく“チームの中心”になりましたよね。勝負どころでの一本、そして守備でも声を出してチームを引っ張っていた。あの姿を見て“次のカープの顔”になってくれる選手だなと改めて思いました。

 そして中村奨成選手の復帰してからの表情や全力プレーに、ずっと期待されていた地元出身のドラ1選手の活躍。これが見たかったんだ!というカープファンも多かったのではないでしょうか。さらにもう1人のドラ1・佐々木泰選手の活躍もあって、右の強打者2人の台頭には胸が高鳴りますね。

 そして何より今シーズンの衝撃は、私の推しの“まっちゃん”こと松山竜平選手が、カープを退団することが発表されたことでした。本当にさみしいです。代打でもスタメンでも、“ここぞ”という場面で何度も魅せてくれた勝負強さ。あの構え、打ったあとの笑顔、そしてベンチでのあたたかさ。どんな時もチームを明るくしてくれる存在でした。

 マツダスタジアムでの最終戦の挨拶も、まっちゃんらしかったですよね。照れくさそうに、それでも真っすぐにファンへ感謝を伝えてくれた。そして最後には、菊池選手の“おなじみの飛び蹴り”。いつも見ていたその光景が、これでラストなのかと思うと、愛おしくて、愛おしくて、寂しくて、堪りませんでした。笑いと涙が混ざった、まさにカープらしい見送りでしたね。

 上本崇司選手、田中広輔選手といった長くチームを支えてきた選手たちも、今季でカープを離れます。みんな“カープらしさ”を体現してきた人たち。泥臭く、声を出し、仲間のために動ける選手たちでした。その背中を見てきた若い世代が、これからのチームをどう作っていくのか、本当に楽しみです。

 まっちゃんと田中選手はまだ現役を続ける意志があるとのことなので、どこに行っても応援しています。まっちゃんの野球が好きだし、ご本人もおっしゃっていたようにいつか球団に戻ってきてくれることをまだまだ夢見ていたいと思います!

 そして新井監督の最終戦の挨拶、あの“16秒の沈黙”は忘れられません。『来年以降もこの苦しみは続くと思います』-。その一言のあと、球場全体が静まり返りました。私も思わず“えええ…”とざわついてしまいましたが、あれこそ新井監督らしさだと思います。だって正直、言う必要のない言葉だったと思います。だけど飾らず、綺麗ごとを言わずに、今の現実と真っすぐ向き合おうとする人柄がにじんでいました。

 最後に、今年のマツダスタジアムは正直、去年にも増して空席が目立つ試合が多かったと思います。チームの結果だけでなく、ファンの心にもどこか“もや”のような迷いがあったのかもしれません。でも、それでも最後まで声を出して応援していたファンがいて、その声がまだこのチームを支えているんです。

 いい時だけ応援するのがファンじゃない。でも、なんでも“いいよいいよ”と褒めるだけでもファンじゃない。叱咤激励して、一緒にまた高みを目指すために、私は来シーズンも球場に行きます。今度は、満員のスタンドで笑えるように。

   ◇  ◇

 うえむらちか 1985年生まれ。広島県出身。タレント、作家と多方面で活躍中。熱烈なカープファンとして知られ、「カープ女子2014の軌跡」「うえむらちかのカープごはん」などを出版。自ら作詞したカープ女子応援ソング「鯉スル乙女」やお好み焼き愛を歌った「おこみやきソング」も配信中。10月からRCCラジオで新番組「うえむらちかと加藤ひさつぐのラジスタジアム おこのミックス」(毎週水曜、23時30分~0時)がスタート。

関連ニュース

編集者のオススメ記事

広島カープ最新ニュース

もっとみる

    主要ニュース

    ランキング(野球)

    話題の写真ランキング

    写真

    リアルタイムランキング

    注目トピックス