広島・高プロ初先発初勝利 若ゴイが逆転呼ぶ熱投「震えが止まらなかった」 8月巻き返しへ白星発進
「広島3-1中日」(1日、マツダスタジアム)
よくやった!広島の大卒2年目・高太一投手(24)がプロ初先発で初勝利をマークした。走者を背負いながらも、最速151キロの直球を軸に6回5安打1失点の好投。灼熱(しゃくねつ)の本拠地で大歓声を浴びた。チームは約1カ月ぶりの連勝で8月を白星発進。鯉の逆襲はここからじゃ!!
反撃を狙う8月戦線の初戦で希望の星が現れた。初々しい表情で初めてのお立ち台に上がった高は「(緊張で)震えが止まらなかったので、どうにか腕を振っていこうと。チームの勝ちにつながる投球ができたのが一番です」と初勝利をかみしめるように汗を拭った。
序盤はピンチの連続だった。初回は不運な打球が重なり1死一、三塁とされるも、細川を「こだわって磨いてきた」という149キロ直球で空振り三振。チェイビスは三ゴロに打ち取り、無失点で立ち上がった。
四回2死二塁で石伊に先制の適時二塁打を浴びるも、追加点は許さない。「1点、2点はしょうがないと思って思い切って投げた」と五、六回は三者凡退で片付けると、直後に味方が逆転に成功。「絶対打ってくださると思っていた」とベンチで両手を挙げて喜びを表現した。
昨季の最終戦で1軍デビューを果たすも、今季は2軍で開幕を迎えた。転機が訪れたのは5月下旬。約2週間、実戦のマウンドから離れ、広陵高の先輩でもある野村3軍投手コーチ兼アナリストとフォームの修正を行った。「できるだけバッターに『速い球がくるぞ』と思わせないように」と“ギャップ”を意識したフォームを目指し、試行錯誤。時には野村コーチ自ら実戦する理想のフォームや、トレーニングのメニューを間近で見学した。「祐輔さんは何でも簡単にできてしまう。見て勉強できたのは大きかった」と最高の教材から全てを吸収した。
以降、登板後に反省会を行うのが恒例に。「登板が終わって、自分では結構良かったんじゃないかなと思って祐輔さんに聞いたら『全然だめ』って言われたこともあります」と苦い思いも味わった。そんな中でつかみ取ったチャンスで見事な一発回答。二人三脚での取り組みが実を結んだ。
新井監督も新星の好投に興奮気味。「大したもんだと思います。何より打者に向かっていく気持ちが出ていた」と高評価。「また次の登板も楽しみにしたいです」と次回登板を示唆した。
6月28、29日の中日戦(バンテリン)以来となる連勝を新戦力の力でもぎ取った。観戦に訪れた両親にも雄姿を披露し「ウイニングボールはプレゼントします」と笑顔を見せた高。「2軍暮らしが長く貢献できていなかったので、少しずつ結果を残していきたい」。8月から始まる鯉の大逆襲。その1ピースを2年目左腕が担っていく。
◇高 太一(たか・たいち)2001年7月26日生まれ、24歳。愛媛県出身。180センチ、89キロ。左投げ左打ち。投手。広陵、大商大を経て、23年度ドラフト2位で広島入団。昨季の最終戦、10月5日・ヤクルト戦(マツダ)で1軍デビュー。六回から3番手として登板し、2回1安打無失点の好投。今年7月にはフレッシュ・オールスターに出場した。





