新井鯉 神宮の惨劇 2点差守れずハーン悲弾 三塁打から一転…ビデオ判定で覆る 新井監督「自分が力がない」
「ヤクルト7-6広島」(21日、神宮球場)
予想しがたい最悪の結末だった。広島は2点リードの九回、守護神・ハーンが逆転3ランを被弾し、悲劇的なサヨナラ負けを食らった。急転直下の大暗転劇で最下位・ヤクルトに同一カード3連敗という屈辱的な形で前半戦が終了。今季ワーストとなる借金7の5位。新井貴浩監督(48)は指揮する立場としてチーム低迷の責任を背負った。
打球の行方を間近で見ていた左翼のカープファンが、その場に座り込んだことが全てを物語っていた。絶望的な思いを抱えて待った約3分間のリプレー検証の審議。ビデオ室から戻ってきた審判が右手をぐるぐる回すと、三塁打の判定は本塁打になった。歓喜する相手を尻目にカープナインは一瞬にして敗者になった。
「まぁでも、しょうがないよね…」
最後の1球を投げる前まで勝っていた試合を落とし、新井監督は心の整理がつく前に口を開かざるを得なかった。2点リードで迎えた九回は守護神・ハーンが登板し、古賀と増田に安打を許して2死一、三塁のピンチを背負った。ここで赤羽に初球を捉えられた飛球は左翼ポール際へ。最初の判定はフェンス直撃で同点の2点適時三塁打だった。しかし、リプレー検証の結果、打球はポールに当たっていたとして判定が覆り、逆転サヨナラ3ランとなった。
負けが決まった瞬間、肩を落としたハーンは「仕方ない」とコメント。前日の試合で怠慢走塁があり、出場のなかった正捕手・坂倉に代わってマスクをかぶっていた石原も「あの展開で勝ちきれなかったのは僕の責任だと思う」とうなだれた。
新井監督は「昨日に続いて今日も、若い選手がいいものを見せてくれたと思います」と、6得点し、2戦連続2桁安打の攻撃陣を評価した。不振のファビアンも初回に33打席ぶりの安打となる適時打を放ち、三回にも適時打を記録した。一方で「結果に関しては、これはもう、ああいう形で打たれたというのもしょうがない。これは自分が受け止めるしかない」と唇をかみしめた。
球宴前までの試合は全て終わり、前半戦は38勝45敗5分けでフィニッシュ。順位は5位で借金は新井政権ワーストを更新する「7」まで膨らんだ。「なかなか思うような戦いはできていない。そこは自分が力がないんだと思います」と、指揮官は選手ではなく、自らにベクトルを向けた。
これで7月は3度目の同一カード3連敗で12敗目。思い出したくないが、月間20敗を喫した昨年9月の悪夢が脳裏をかすめる。後半戦は26日・巨人戦(マツダ)。切り替える時間はある。「後半、まだまだ上にいけるチャンスはあるから、しっかり休んで後半戦に備えたいと思います」。前を向いた新井監督の言葉を信じるしかない。




