広島・新井監督「辛抱強くやっていきたい」 貧打線深刻、最終回1点のみで敗戦、5位転落 20日にも自力V消滅

 「ヤクルト3-1広島」(19日、神宮球場)

 ついに…。広島が最下位・ヤクルトに敗れて5位に転落した。3点を追う九回に羽月の三塁打を起点にして1点を返し、完封負けは免れたものの、終始苦しい試合展開となった。これで早くも7月は10敗目。貧打を抜け出せない状況に新井貴浩監督(48)は「我慢」と「辛抱」を強調したが、現実は厳しさを増している。

 試合後の新井監督は赤く染まった三塁側スタンドの前を通りながら足早にクラブハウスへと引き揚げた。報道陣からの問いかけに終始険しい表情だったのも無理はない。最下位・ヤクルトを前にしても貧打を抜け出せなかったからだ。

 「誰か出てきてほしいとは、もちろん思っているしね」

 打線をけん引する者はいつまでたっても現れない。長く続いているこの状況に指揮官の本音がにじんだ。3得点以下の試合は交流戦明けから19試合を消化して18度目になった。好機であと1本が出なかったり、好機すらつくることができなかったり…。貧打のバリエーションはさまざまだが、点を取ることができていないことに変わりはない。

 この日は好機の芽はつくったが、絶好機までつくれなかった。初回は2死から小園が中前打で出塁。二盗も決めて得点圏に走者を進めるも4番・ファビアンが一邪飛に倒れた。七、八回はいずれも先頭が出塁したが、七回はモンテロ、八回は大盛が併殺打で左翼席は意気消沈した。

 相手先発・奥川に対しては高めに浮き上がる直球と低めに沈み込む落ち球に苦戦。指揮官は「追い込まれたら、どうしてもいいところに投げられてしまうから。そこは力をつけていくしかない」と唇をかみしめた。

 チーム全体に目を向けると、6月は打率・348の好成績を残したファビアンから快音が消えた。現状は7戦連続となる27打席連続で安打なし。3番か4番を託されている7月の月間打率は・133まで落ちてきた。

 この日は左翼ポール際への特大ファウルが2球あり、復調への兆しは見えている。新井監督も「ファビアンは内容的にはちょっと上がってきているかな、とは見える」と前向きな言葉を発し、奮起を促している。

 ただ、中日と入れ替わる形で5位転落。3年目となった新井政権で7月以降初めて5位になった事実は重い。「ずっとこういう試合が続いているけど、我慢強く、辛抱強くやっていきたいと思います」と悔しさを押し殺しながら指揮官は言った。慢性的になってしまっている得点力不足を解消するのは簡単ではないが、特効薬が欲しい。

 ◆20日にも自力優勝の可能性消滅… 広島が20日・ヤクルト戦に敗れて、阪神が巨人戦に勝利すると、広島の自力優勝の可能性が消滅する。広島が残り56試合全勝で94勝44敗5分け、勝率・6811。一方、阪神が広島戦残り全敗でも、その他の試合で全勝すれば97勝44敗2分け、勝率・6879となり、広島は上回れない。なお、阪神が引き分けても消滅する。

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