広島・上本ノーノー阻止打 八回無死から意地の二塁打 ロッテ・サモンズに鯉打線1安打のみ…連勝3で止まる
「ロッテ6-1広島」(10日、ZOZOマリンスタジアム)
広島が1安打に封じられての敗戦で、連勝は3で止まった。ロッテ先発サモンズに七回まで無安打無得点の快投を許し、ノーヒットノーランを食らいかけた。そんな中で今季初スタメンの上本崇司内野手(34)がチーム唯一の安打を放って存在感を発揮。新井貴浩監督(48)は雨の中、スタンドで声をからした鯉党に対して「申し訳ない」と語り、1敗の悔しさをかみしめた。
雨が降り、風も吹いた。悪天候の平日夜のビジター球場。そんなタフな環境でも赤い声援が途絶えることはなかった。「ヒットを打って上本~!」。左翼席から響く願いのこもったエールに上本が応えた。左中間を破る二塁打。サモンズのノーヒットノーランを阻止する一打を「逆方向を意識して。スライダーが来たので、そのまま引っ張りました」と淡々と振り返った。
今季初めてのスタメン起用に気を吐いた。打線は相手先発サモンズに苦戦。七回まで無安打に封じられた。八回先頭、ノーヒットノーラン献上が頭にちらつきだした。その事実を「知っていた」という上本が打席に入った。追い込まれながらもファウルで粘ると、真ん中に入ってきたスライダーを振り抜き、ライナー性の打球は左中間を抜けていった。
これが上本自身の今季初安打。今季は2月のキャンプからファームで過ごし、ウエスタンでも打率・265という決して絶好調ではない中で5月20日に1軍登録された。現状の打撃状態についても「良くないです。何とも言えないです」と硬い表情を崩さない。
首脳陣からは内外野を守れるユーティリティー性が高く評価されている。この日も四回1死での左翼守備で山本のファウルゾーンへの飛球をフェンスに激突しながら、ジャンピングキャッチ。自らの役割を自覚しながら懸命なプレーで見せ場をつくった。
上本をスタメン起用した新井監督は「(サモンズが)明らかに右打者の方がくみしやすいということだった。マリンは風もあって外野の守備も難しい。崇司は守備もうまいし、足も絡めてということで」と理由を説明。攻守での存在感に「いいヒットだったと思いますし、ナイスプレーでしたね」と目を細めた。
ただ、チーム全体で上本の1安打に終わり、ノーヒットノーランを食らいかけた事実は変わらない。指揮官は「雨が降る平日に、たくさんカープファンが応援に来てくれていたのに、申し訳なかった」と謝罪し、「明日はいい試合をお見せできるように頑張りたい」とコメント。次戦は多くの快音を響かせ、打線の梅雨入りは阻止する。