広島・新井監督「誰も責められない」 魔の五回、ファビアンと矢野が激突で決勝点献上 記録上は矢野の失策 大事には至らず
「広島2-5阪神」(30日、マツダスタジアム)
広島が逆転負けでの2連敗で、DeNAに並ばれて同率3位となった。序盤に1点を先制するも、五回に一挙3失点。飛球を捕球する際に左翼のサンドロ・ファビアン外野手(27)と遊撃の矢野雅哉内野手(26)が交錯して勝ち越し点を献上する不運に見舞われた。このプレーを新井貴浩監督(48)は「誰も責められない」と強調。最終回の攻撃にも目を向け、前を見た。
激しい衝突と転がるボールを目の当たりにし、スタンドは悲鳴と歓声が交差した。同点とされた直後の五回2死一、三塁で、阪神・森下が放った左翼前方への飛球を捕球する際に左翼・ファビアンと遊撃・矢野が交錯。ボールが地面を転々とする間に勝ち越しの走者2人の生還を許した。
記録上は矢野の失策となり、決勝点につながる手痛いプレーとなってしまったが、新井監督は「結構(球が)高く上がっていたし、誰も責めることはできないよね」と強調。矢野とファビアンは衝突直後はその場に倒れ込み、一時はグラウンドに担架も運び込まれる状況となったが、プレーを続行した。
ファビアンは七回の守備から途中交代し、広島市内の病院を受診。『顔面打撲』と診断されたものの、指揮官は「本人は『全然大丈夫、問題ない』ということだったんだけど、あくまで大事を取って病院に行った」とチームの判断であることを説明した。
交錯の場面は、飛球を見上げたファビアンが手を広げていた。「オーライ」とも「球を見失った」とも受け取れるジェスチャー。この動きを見た矢野は「声も聞こえなかったし、見えてないのかなと思って行かないといけないなと、自分の判断で行った」という。風も舞っていた中、本来なら左翼手の守備範囲である深い位置まで追っていき、交錯してしまった。
矢野は四回2死二、三塁のピンチでは三遊間深くに飛んだワンバウンドの打球を素手で捕り、一塁への大遠投でアウトにする異次元のプレーを見せていた。五回の交錯は、そんな超人的なプレーを可能とする男だからこそ、起きたとも言える不運なプレーになってしまった。
これで阪神戦は3連敗となったものの、新井監督は最終回の攻撃に着目。4点を追う九回は相手守護神・岩崎から中村奨が内野安打、坂倉が四球でモンテロが中前への適時打を放ち、一矢報いた。「最後まで諦めることなくというのが見えたので、またあしたしっかり頑張りたいと思います」。不運やアクシデントがあっても動じない。DeNAに並ばれて同率3位となったが、強い姿で2・5差の首位・阪神を追っていく。





