広島・中村奨成 広陵時代を彷彿!甲子園で躍動 今季初スタメン「思い出の球場」で初マルチ「真っすぐ仕留められた」
「阪神8-1広島」(20日、甲子園球場)
広島・中村奨成外野手(25)が、敗戦の中で存在感を発揮した。今季初スタメンで四回と七回にいずれも中前打。3月から取り組むフォーム変更を結果につなげた。2017年夏には広陵の主砲として、甲子園での1大会最多本塁打記録を更新する6本塁打を記録。そこから8年、聖地では自身初のマルチ安打を記録した。1軍定着へ、貪欲にアピールを続ける。
銀傘にはね返る打球音が、心地よく響く。そして懐かしくもある。原点とも言える舞台で、中村奨が躍動。「積極性が自分の持ち味。それがうまいこと出てくれたと思う」とプラスに捉えた。
初対戦の伊原に対し、まずは四回2死一塁で中前打。詰まりながら好機を拡大させた。「受けないように、自分から向かっていって勝負していこうと思っていた。1打席目は1球(中飛)で終わったけど、感覚的には悪くなかった」と攻略へのイメージを変えず、好結果につなげた。
続く七回は無死一塁で中前にはじき返した。ゲラの初球154キロをジャストミート。「オープン戦を含め、なかなかクリーンなヒットは打てていなかった」と、久々の感触に納得顔だ。
広陵では17年の3年夏、聖地で1大会最多本塁打記録を更新する6本塁打を放ち、注目を集めた。プロ入り後、甲子園でマルチ安打を放つのは初めて。「もう8年たつので、あまり意識はしてないですけど」と前置きしつつ「そういう声もチームメートから出ていましたし、思い出の球場なので。そこで今日みたいな活躍ができたのは良かった」と振り返った。
春季キャンプから1軍に帯同するも、オープン戦は、打率・071。3月16日、ロッテとのオープン戦後に2軍降格が決まった。2軍では福地ヘッド兼打撃・走塁コーチと話し合い、オープンスタンスへの変更で再出発を目指した。
「『2軍で打っているのは分かっているから、1軍の速いピッチャーにいいアプローチをしていこうよ』という話をしてもらった。約2週間、2軍にいた時に試したら(状態が)上がってきた」と効果を実感した。
左足を開いて構えるのは、1軍レベルの速球を捉えることが狙い。「とにかく球を見やすくして、詰まらないように。思ったところに(バットを)出せるように、試行錯誤しながら」と現状を説明する。ゲラからの中前打は注力したことが形になった快音で「速い真っすぐを1球で仕留められたというのは、2軍から取り組んできたことが出たかなと思う」と手応えが残った。
目指すは1軍定着、そして外野のレギュラー奪取を見据える。「ここから、また続けていけるようにしたい」と中村奨。ゆかりある球場での快音を契機に、まい進する。
◆中村奨、甲子園で初のマルチ安打 甲子園でのプロ1軍初出場は2021年5月2日の阪神戦。代打で三振を喫した。23年7月30日には「7番・右翼」で初めて先発に名を連ね、八回の第3打席に遊撃へ内野安打を放ち、甲子園でのプロ初安打を記録。この日は2度目の聖地での先発出場となったが、4打数2安打と結果を出して初のマルチ安打をマークした。





