広島・中村貴 苦しんで、もがいた先に 不振乗り越えろ!三振減へ試行錯誤
広島の中村貴浩外野手(23)が不振脱出へ試行錯誤している。低めへの対応力を上げ、三振を減らすためにバットの出し方や考え方などに工夫を凝らす。支配下登録を勝ち取り1軍でプロ初安打を記録するなどしたが、現在は壁に直面。乗り越えるために、もがいている。
ぶち当たる壁を乗り越えようと、もがく中村貴の姿が大野練習場にあった。福地2軍打撃コーチの言葉に熱心に耳を傾け実践する。「低めの球の拾い方とかバットの出し方とか、考え方とか、全部です」。必死な表情も印象的だ。
打率・234(2日現在)。本塁打は7月23日の中日戦で4号ソロを放って以来、ない。長打力が持ち味でサク越えできるパワーもある。
「前は何でも打てる感じだった。今は初球、真っすぐが来るか変化球かなと探っていたら手が出なくなった。こんなにホームランが出ないのは…。ここまで打てないのは初めてです」。苦しい胸の内を明かした。
研究されたり、攻め方を徹底されたりする中で自身の形が崩れてきた。現在は三振を減らすことを1つのテーマに置く。内角を攻められ、最後は落ちる球種で空振り三振を奪われることが増えたからだ。
課題克服へ、福地コーチには打席での心構えについて説かれた。「ここまで打てなかったらシンプルに考えていいんじゃないかと。それができるようになったらもっと打てるようになると言ってもらった」
来た球にバットを出す。考え込むタイプだけに決して簡単なことではないが、その言葉を実践しようとしている。
もちろん練習量も落とさない。高校、大学時代と打てないときはバットを振ることで自信を取り戻してきた。「初めてバットを短く持ったんです」。現段階では、グリップを余して持つ形は自身に合わなかった。それでも試行錯誤したことが今後、打撃の幅を広げる可能性はある。苦しむ中でのさまざまな取り組みは重要だ。
5月に支配下登録され、プロ初安打も記録した。
「あの舞台で活躍したい」
若鯉は顔を上げ、力を込めた。前だけを向いて自分自身と向き合っていく。
◆中村 貴浩(なかむら・たかひろ)2000年4月9日生まれ。福岡県出身。外野手。右投げ左打ち。身長177センチ、体重85キロ。小学1年から野球を始め6年時にはホークスジュニアでプレーした。九州国際大付では1年夏からベンチ入りした。九産大に進学し2年秋のリーグ戦で打点王、3年秋にはMVPなど4冠。22年度育成ドラフト2位で広島に入団。