広島・矢崎になにがあった?中継ぎエースに大変身した理由を北別府氏が解明

 広島の矢崎拓也投手(27)が大変身を遂げた。かつての制球難は陰を潜め、今年はセットアッパーの一員として勝ちゲームで投げている。デイリースポーツウェブ評論家の北別府学氏は「横への変化を身につけ投球の幅が広がった」と語り、スライダーの習得に注目した。

  ◇  ◇

 ペナントレースの前半は、抑えの栗林へつなぐリリーフ投手のコマ不足が深刻だったけど、ここへきて中継ぎ陣が安定してきたね。その代表格が矢崎ではないか。

 (矢崎は今季36試合すべてに救援登板して2勝0敗。38回を投げて防御率は1・89。7月10日の中日戦から14試合、自責点0を継続中だ)

 矢崎は力投型で力いっぱいに強い球を投げるタイプの投手。150キロを超える直球とよく落ちるフォークボールを武器に、やや強引なピッチングに走る傾向があった。

 これに制球力があれば問題はないのだが、その不安定さが彼の欠点だった。

 ところが、今年の矢崎は四球が大幅に減っているね。与四球率は昨年の9・00から4・26に半減。今では四球で自滅するシーンはほとんど見られなくなった。

 昨年までは突然、ボールが高めに大きく浮いたり、ワンバウンドしたり。“ボールの行く先はボールに聞いてくれ”という感じだったけど、それがほとんどなくなった。

 理由のひとつは力任せの投球からの脱皮だろうね。全部が勝負球ではなく、打たせて取る意識を持ち始めたのではないか。いろいろと経験したことで、間違いなく投手としての幅が広くなった。

 その分、奪三振率も少し下がってきているが、それはまったく気にすることはない。

 もうひとつはスライダーを効果的に使えるようになっている点。この横への変化が1軍では必要だと感じ、身につけたんだと思う。

 スライダーはカーブよりもカウントを稼げる球種なんですよ。これを覚えれば投球が楽になる。

 先にも触れたが、ピッチングの幅が広がることで気持ちに余裕が生まれる。ストライク先行で主導権を握ると、打者もボール球を振ってくれるようになるからね。

 いろんなことが好循環することで、一気に視界が開けたのかな。投手とは、あるきっかけや考え方次第で、これほどまでに変わるもの。矢崎はその典型かもしれない。

 すでに結果を求められる重要なポジションについているけど、これから先、もっと実績を積んで一層安定感が増せば、ますますチームに欠かせない存在になるはずだ。

 もうひとつ付け加えると…ルーキーの頃の尖った雰囲気もなくなり、身内をきちんと味方にする術も身につけてきたのではないだろうか。

 その矢崎がコロナ陽性でしばらく離脱するとのこと。残念ではあるけど、練習はできなくとも今までの投球を振り返る時間がしっかりとれたわけだから、復帰後はさらにチームの大きな力になることと信じています。

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