カープ秋山翔吾 マルチ安打で日本球界復帰 期待に応えた「次は勝てるところでまた」
「中日9-2広島」(8日、バンテリンドーム)
広島の秋山翔吾外野手(34)が日本球界復帰戦を2安打1打点で飾った。1軍に初昇格し、「3番・左翼」でスタメン出場。2打席目の三回2死一、二塁で中前適時打を放った。六回の先頭では右前へ運びマルチ安打を記録した。チーム浮上の起爆剤として期待される男が、その存在の大きさを示した一戦だった。
二遊間を抜ける白球に鯉党、三塁側ベンチが沸いた。0-3の三回2死一、二塁だ。秋山が中前適時打を放った。3年ぶりの日本球界復帰。その初戦でチームの期待に応えた。
「1打席目の感じからするとだいぶ、ちゃんとしたタイミングで振りたいなというのがあった。(適時打は)ラッキーでしたね。抜けたところが」
はじき返したのは、低めながら真ん中寄りの直球だった。中日バッテリーは3球連続で外角を狙ったが、わずかに甘くなった。その1球を見逃すはずがなかった。
日本での1軍レギュラーシーズン出場は西武時代の2019年9月26日楽天戦以来、1016日ぶり。安打と適時打は同年同月24日のロッテ戦以来、1018日ぶりだった。
六回の先頭では右前へ運びマルチ安打を記録。守備でも六回、左中間への深い打球を確実に捕球した。日米でいくつもの大舞台を経験してきたが、節目の一戦は「どうしても慣れない緊張感がある」。その中で攻守で存在感を示した。佐々岡監督は「さすがの守備、打撃をしてくれた」と振り返った。
「選手としての評価はもちろん、ああいう選手が来てくれたら大きな財産になる」。6月24日、秋山と交渉した鈴木球団本部長は、こう言って加入を熱望した。
プロ野球記録の216安打など球界を代表する大打者が加われば現有戦力の底上げにつながる。さらに若手など周囲への波及効果も計り知れなかった。
1軍昇格前の2軍戦では秋山が助言を送る場面があったという。高2軍監督は「(若手などに)いろいろアドバイスをしている」と話し、自身も打撃について質問したことを明かした。
「左打者が左投手に対するときのね。どうしたらいいかなと俺も聞いたりしたよ」。その存在が確かにチームに好影響をもたらしていた。
中日に敗れ、4位・阪神とゲーム差1になった。背番号「9」は「結果的に2本出ましたけど、次は勝てるところでまた打ちたい」と力を込めた。笑顔で試合を終えるため、流れを変える一打を放つ。
◆秋山が1016日ぶりレギュラーシーズン出場 秋山のNPBレギュラーシーズン出場は2019年9月26日・楽天戦以来、1016日ぶり。クライマックスシリーズ(CS)を含めれば同年10月13日、ソフトバンクとのファイナルS第4戦以来、999日ぶりだった。タイムリー安打はレギュラーシーズンで同年9月24日・ロッテ戦以来、1018日ぶり。CSを含めれば同年10月10日のファイナルS第2戦以来。1試合複数安打は同年9月24日・ロッテ戦(2安打)、CSでは同年のファイナルS第4戦で記録している。