広島・坂倉 飛躍の理由「一つ一つ整理できるようになった」 石原慶幸氏と対談(2)

 熱く語り合う石原氏(左)と坂倉
 笑顔でポーズを決める石原氏(左)と坂倉(撮影・山口登)
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 広島の坂倉将吾捕手(23)と本紙評論家の石原慶幸氏(42)が新春特別対談に臨んだ。坂倉は昨季、プロ初の規定打席に到達し、リーグ2位の打率・315の好成績を残した。飛躍の一年を振り返り、今季は「捕手で優勝」という大きな目標を掲げた。石原氏は捕手というポジションでの心構えをアドバイスするなど、捕手談議に花が咲いた。

  ◇  ◇

 石原「打撃ではシーズン終盤、鈴木誠選手と首位打者争いを繰り広げた。その時の気持ち、終わってみて届かなかった気持ちはどうだった?」

 坂倉「やっている時は、もちろん『抜かしてやる』という思いもありました。ただ最終戦、ベンチで『本当に抜けるのかな」とずっと考えていて。本当に誠也さんが一番練習していますし、自分がそれに勝る練習をしてきたのか、それを抜ける自分がいるのかと自問自答しながら。結局抜かせず、終わってみて『そうだよな』というのはありました」

 石原「それでも捕手と一塁の掛け持ちでシーズンを完走。これだけの成績が残せた最大の理由は」

 坂倉「一つ一つを整理できるようになったことですかね」

 石原「それは気持ち的に?それとも頭の中としてかな」

 坂倉「頭も気持ちもですね。投手が打たれた時の悔しさは常にあるんですが、自分が考えた上で出したサインで打たれると、すごく反省しやすかったです。打席に立っていても捕手のことを考えたりするんですが、前向きに考えられるようになったことで、打席でもいい集中ができていたと思います」

 石原「技術的にはどこが良くなったから、この打率(・315)を残せたのかな」

 坂倉「力強い真っすぐを簡単に空振りしなくなったのが大きいと思っています。今まで空振りしていた球をファウルで粘ることができるようになったことで失投の球が来たりしました。打席の中で自分でチャンスを増やすことができていたかなと思います」

 石原「空振りしなくなったのは、なにかを変えたから?」

 坂倉「正直、あまり分からないんですけど、スイング軌道は自分なりに『ここを通る』というのが分かってきました。『ここの球はバットをこういうふうに出せば』というのが、だいぶ体に染みついてきたのが一つの要因かなと思います」

 石原「昨季、捕手をする中で何か自分で良くなった点は」

 坂倉「リード面に関しては、同じボールを続けることが怖くなくなりました。そこに根拠があれば、何球同じ球を続けてもいいんだと。前は『2球続けたら打たれるかな』と思いながらリードしていたところを『この反応だったらもう1球いける』という思いがパッと出てくるようになりました」

 石原「課題は」

 坂倉「捕る、止める、投げることに関してはまだまだレベルが低いので、そこをもう一段階も二段階も上げていかないといけないとは思います」

 石原「自分の中で何がダメか、その理由は探せているかな」

 坂倉「一つずつ見つかってきています。キャッチングも、ワンバウンドの球への対応も、スローイングも。『これをしていなかったからミスをした』というのが分かってきて、以前と違った反省ができていますね」

 石原「それは楽しみだね。捕手っていろんな経験をしないといけない。リードもそうだけど、失敗と成功の積み重ねが大事。そういう経験を繰り返していくことで、もっと違う感覚でプレーできるようになってくる。会沢もそうやってレギュラーの座をつかんでいった。坂倉にとって会沢はどんな存在?」

 坂倉「一塁から会沢さんのプレーを見て感じたのは『やっぱり違うな』と。そのすごさが、なおさらよく分かりました。グラウンドに立っている存在感、醸し出している空気感と間合い。本当に試合を支配していると感じた。近づきたいという思いがさらに強くなりました」

 石原「存在感や雰囲気というのは自分から出そうと思わない方がいいよ。必死にやった結果、自然と出てくるものだから。とにかく必死にプレーして、たくさん考えることで落ち着いたプレーができるようになってくる。最後に、今季の抱負を聞かせてほしい」

 坂倉「昨年は捕手としてチーム最多出場(62試合)でしたが、結果Bクラスでした。そこを何とかしたい。もちろん捕手としてもですが、仮に他のポジションで出るようになっても、やはりチームの勝利がうれしいので、そこを第一に。まだ年齢的には若いですけど、しっかりとみんなを引っ張っていけるように頑張っていきたいと思っています」

 ◆石原慶幸(いしはら・よしゆき)1979年9月7日生まれ。岐阜県出身。現役時代は177センチ、90キロ、右投げ右打ちの捕手。県岐阜商から東北福祉大を経て、01年度ドラフト4巡目で広島入団。1年目の02年10月5日・ヤクルト戦(広島)で初出場初安打。18年5月11日・阪神戦(マツダ)で、広島捕手では初で史上最年長となる38歳8カ月での1000本安打達成。ベストナイン、ゴールデン・グラブ賞各1回(いずれも16年)。16~18年にはチームの3連覇に貢献。09年WBC日本代表。通算成績は1620試合出場、1022安打、66本塁打、378打点、打率.236。

 ◆坂倉将吾(さかくら・しょうご)1998年5月29日生まれ。千葉県出身。176センチ、82キロ。右投げ左打ち。捕手。酒々井ビッグアローズ(軟式)で野球を始め、酒々井中では八千代中央シニアに所属。3年春に全国大会優勝。日大三高時代は甲子園出場なし。2016年度ドラフト4位で広島に入団。1年目の17年9月23日・巨人戦でプロ初出場。同30日・DeNA戦でプロ初安打初打点。昨季は自己最多132試合に出場し、打率.315、12本塁打、68打点。初めて規定打席に到達し、打率はリーグ2位。今季の推定年俸5000万円。

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