佐々岡カープ 「誤算と収穫」チーム打率リーグ1位ながら決定力不足【検証連載2】

 広島は63勝68敗12分けの4位でシーズンを終えた。借金は5を数え、3年連続のBクラス。終わってみればチーム打率・264と1265安打は、いずれもリーグトップだったが、序盤は外国人野手が機能せず苦しい戦いを強いられた。佐々岡カープ2年目の課題と収穫を検証する全3回の連載。2回目は今季の攻撃陣を振り返る。

  ◇  ◇

 シーズン序盤の4月11~18日の6試合で、チームは4度の零封負けを喫した。FA市場に積極的に乗り出さない広島にとって大きな補強は、新人選手と新外国人。特に外国人はチームの浮沈を握る存在だが、今季の打線においては新外国人・クロンとメヒアの不振が響いた。

 開幕スタメンだったクロンは6月14日に2軍降格。以降は一度も1軍昇格せず、メヒアも先発出場は9試合。2軍暮らしが続き、皮肉にもクロンとメヒアが2軍戦で中軸を組む事態になったのは大誤算だった。外国人選手というチームの“生命線”が機能せず、前半戦は厚みのある攻撃が実現できなかった。

 それでもチーム打率・264と1265安打は、いずれもリーグトップ。犠飛数34も6球団別で最も多い。ただ、その攻撃力が勝敗と直結しなかった。「6球団トータルで見ると、得点力が低かったのが一番の課題」と朝山打撃コーチ。残塁数の多さが、それを物語っている。1034残塁はセ・リーグワースト。塁上をにぎわせながら、何度も決定打を欠いた。象徴的だったのは3月28日・中日戦(マツダ)。10安打も16残塁で0-0の引き分け。9回試合での1試合16残塁は24年ぶりで球団最多の17にあと1に迫る拙攻だった。

 例えば1死二、三塁や無死三塁で相手の内野が前進守備を敷かないケースもある。ゴロを打てば得点できる場面で三振も目立った。2桁安打もリーグ最多の56度を記録したように攻撃力はある。問題は相手投手がギアを上げる得点圏でいかに1点を奪えるか-。来季への大きな課題になるのは間違いない。

 またもう一つの課題として、特定の投手に苦しまないことも求められる。阪神・秋山とは今季10度対戦して3勝5敗。9月末から2戦続けて土を付けたが、苦手意識を植え付けられた。中日では松葉に5試合で3勝を献上。柳とは6試合で2勝をもぎ取ったものの、防御率1・93と手を焼いた。同一リーグで、何度も顔を合わせる相手。同じ投手にやられないことも来季の逆襲に欠かせない。

 そんな中、孤軍奮闘の働きを見せたのは鈴木誠だ。東京五輪では日本代表の4番として金メダル獲得に貢献。9月には6試合連続本塁打でプロ野球記録に王手をかけるなど、自己最多の38本塁打。後半戦は2カ月連続で月間MVPを受賞し、2年ぶりの首位打者と最高出塁率のタイトルを確定させた。

 鈴木誠と中軸を組んだ坂倉は打率リーグ2位の・315。広島の日本選手がセ・リーグ打率1、2位を占めるのは球団史上初となった。球界屈指の強打者の後ろを打つ5番を主戦場にしながら、結果を残した姿は来季への大きな収穫だった。

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